2012 Fiscal Year Research-status Report
患者診療情報の持続的把握のための携帯可能な可搬型診療端末の運用課題分析研究
Project/Area Number |
24659235
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
美代 賢吾 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40302690)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 医療情報学 / 情報システム / 社会医学 / 携帯端末 / スマートフォン |
Research Abstract |
平成24年度の研究実施目標は、1)多機能小型携帯型端末機器(Business Smart Phone, BSP)の実システム上での実装、2)BSPのセキュリティ上の課題と解決策、3)BSP運用・所持に関わる危険性と解決策の検討、であった。 1)については、Webブラウザ経由で診療情報にアクセスする方式と、仮想デスクトップを用いてアクセスする方式について、購入したBSPに環境構築し、実際の東大病院の病院情報システムにアクセスし、患者情報を閲覧する機能を構築した。2)セキュリティ上の課題については、本年度は院内専用の無線LAN(WiFi、WPA2-PSK/AES)による院内からのアクセスのみに限定し、携帯電話回線を用いた参照は実施していない。3)運用面での盗難、紛失に関する危険性の検討および対策については、引き続き行っており、経済産業省の調査事業およびMEDIS-DCによる医療情報の安全管理ガイドラインとの整合性をとりつつ進めている。なお、本年度は、現場での医療職による実運用は実施していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BSPの多機能化、高機能化の急速な進展のため、機器の購入については当初予定より少ないが、セキュリティや運用面での課題など必要な検討は進めている。また、既に東大病院の実患者にアクセス可能な環境は整えられており、セキュリティ要件および運用上の要件を定めることで、来年度の実証的研究につなげることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究計画の最終年度にあたるため、本年度に構築した環境を用いて、実際に患者の診療やケアをおこなう医師・看護師による評価をおこなう。医療従事者による主観的評価に加え、システムログデータの抽出・分析による評価もあわせておこなう。以上から、実際の環境で医療従事者が使用し、実際に運用された環境における、運用上の諸課題の同定をおこない、小型携帯型端末の医療分野での普及に向けた標準運用手順等の提案をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
[1.医療従事者による運用と評価]研究協力医師、研究協力看護師により、実際の診療現場で運用をおこない、評価をおこなう。なお、この実証試験運用にあたっては学内の倫理委員会に諮り、委員会の判断に基づき審査を受ける。 [2.実運用に基づく課題の整理およびUIの改善]実証試験運用に協力した医療従事者の主観的評価だけでなく、ログイン履歴や閲覧・参照履歴などのログデータを分析することで、システム面、運用面での課題の整理をおこなう。また、[1]の主観的評価に加えて、収集したログデータを分析することで、BSPによる患者データ参照用UIの改善をおこなう。 [3.医療分野におけるBSP運用の課題の整理][1]および[2]より、患者の診療情報を参照するために、EHRと連携するBSPを実運用で継続的に利用するための課題について整理をおこなう。 [4.ガイドラインの検討]医療分野におけるBSPに適したUIの設計方針、通信および端末機器の盗難・紛失に係るセキュリティ対策、運用にあたっての法的な裏付け、残された課題について、まとめをおこなう。本研究が、他病院での導入・運用・システム開発に対して、資するよう、導入・運用ガイドラインとして提供することを検討する。
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