2012 Fiscal Year Research-status Report
臨床推論学習とコミュニケーション学習を融合した医療面接実習方略の構築とその評価
Project/Area Number |
24659239
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伴 信太郎 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40218673)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西城 卓也 岐阜大学, 医学部, 助教 (90508897)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 外来診療実習 / 医療面接 / コミュニケーション / 臨床推論 / 学習方略 / 卒前教育 / ロールプレイ / 患者医師関係 |
Research Abstract |
1.本研究の背景調査および発表 外来実習プログラムとコミュニケーション実習プログラムの融合させ、臨床推論とコミュニケーションの学習を融合させるために、実際の患者情報をもとに学生に患者役を演技させて医療面接ロールプレイを行う方略が世界的にどの程度行われているかを調査した。これらについては、実際の患者情報をもとに学生が患者役を演技することは世界的にほとんど行われておらず、また行われている場合もその教育的効果についてはほとんど検証されていない事が明らかになった。この成果については、第44回日本医学教育学会(平成24年7月、横浜市)にて発表を行った。 2.新医療面接実習プログラムの妥当性検証・学生の認識探索 本年度は、臨床推論とコミュニケーションを融合した本実習の妥当性検証・学生の認識探索を行った。本実習は平成24年度名古屋大学医学部医学科5年生の全臨床実習班(20グループ)に行われた。そのうち11グループに関して研究への参加を依頼し、各グループのうち同意を得られた学生計58名に対して、半構造化した質問をもとにフォーカスグループディスカッションを行った。その際、本実習の妥当性検証については教育的効果を測定することに設定し、さらに教育的効果については「患者の視点の理解」に関して本実習による学生の認識の深化を測定することとして探索した。11グループの音声データについては随時逐語録を作成し、これらの質的分析については現在3グループの分析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに医師役・患者役・参加者への半構造化インタビューを行い、予定していた10回のインタビューに到達した。現在逐語録から質的分析をすすめ、理論化を行う段階に至っている。理論は生成途中ではあるが、本実習プログラムは患者役の学生だけでなく医師役・聴衆役の学生に対して、患者の視点について具体的で現実味を帯びた情報に触れる機会を与えていることが判明した。さらには、グループディスカッションを通じて学生は実際の患者と一般的な患者というスペクトラムのなかで揺らぎながら、学生自身の解釈も含めて患者の感情や関心・期待を推測し、患者の視点に対する認識を深めていることが明らかになってきている。これらは我々が目的とした本実習の教育的効果の測定および理論生成に迫るものであり、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(研究組織)平成24年度に引き続き、下記の担当者により研究を行う。伴信太郎(研究代表者:名古屋大学・教授、研究総括・プログラム運営推進)、西城卓也(研究分担者:岐阜大学・助教、研究デザイン・データ分析・文献検索)、高橋徳幸(研究協力者1:名古屋大学・大学院生、実習担当・データ収集・解析)、佐藤寿一(研究協力者2:名古屋大学・講師、外来実習担当)、鈴木富雄(研究協力者3:名古屋大学・講師、外来実習担当)、高見勇一郎(研究協力者4:名古屋大学・助教、外来実習担当)、佐藤元紀(研究協力者5:名古屋大学・病院助教、外来実習担当)。平成25年度より新たに青松棟吉(研究協力者:名古屋大学・助教、データ分析)を加える。 (概要)平成24年度に収集した逐語録をもとに、引き続き質的分析を続け、理論を生成する。平成25年度はそれらを踏まえてさらに追加インタビューを行う。平成25年度の名古屋大学医学部医学科5年生に対して、平成24年度と同様に本実習終了後、半構造化した質問項目をもとにフォーカスグループディスカッションを行う。質問項目は以下に基づく、調査①:患者役が提示する情報に対する現実性の認識と、生物学的・心理社会学的側面の患者理解について、調査②:自分が見た患者の経過に基づいて患者役を演じたことに対する学習効果について、調査③:ビデオ学習による医療面接・コミュニケーション能力の学習効果について。これらをふまえて生成された理論を成果とし、国内・国外の学会にて学会発表を行い、英語論文作成を順次行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の追加インタビューの際、音声データに関するテープ起こし費用に使用する。理論化・論文化に際して、他分野の専門家との討論を予定しているが、それらの研究支援者に対する謝礼および指導打ち合わせ会議費に使用する。理論化に際して関連する知見の学習のため、図書の追加購入に当てる。質的研究の方法論習得に関して、名古屋大学大学院教育発達科学研究科の演習に参加するが、演習に関わる諸費用に使用する。得られた研究成果の学会発表を行う際、ポスター作成の印刷費用に使用する。成果発表に必要な国内・国外双方の渡航費に使用する。英語論文投稿に至る場合は、作成に際して必要な英語論文校閲、投稿料に使用する。 平成25年度の予定額(900,000円)については、下記のように使用する予定である。 物品費:100,000円 旅費:400,000円 謝金等:200,000円 その他:200,000円
|
Research Products
(1 results)