2013 Fiscal Year Research-status Report
医療資源の効率性と医療圏の創造的な破壊による圏域設定に関する研究
Project/Area Number |
24659243
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山口 徳蔵 札幌医科大学, 附属総合情報センター, 研究員 (80423771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新見 隆彦 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10404584)
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20359996)
高塚 伸太朗 札幌医科大学, 附属総合情報センター, 助教 (30457733)
辰巳 治之 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90171719)
森 満 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50175634)
當瀬 規嗣 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80192657)
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Keywords | 社会構造 / 医療の地域格差 / 医療へのアクセス / 疾病構造 / 医療圏 / レセプトデータ |
Research Abstract |
社会構造の急速な変貌に伴い、有限な医療資源の効率的な配分、医療の質と公平性を確保した提供体制に着目した「新たな仕組み」がもとめられる。 本研究では、これまでの特定機能病院の実データを用いた研究を礎とし、医療機関の診療報酬請求書(レセプト情報)に凝縮されている被保険者の医療情報の分析を行っている。 対象は、北海道の二次医療圏のうち地域的特性を有する市町村の国民健康保険並びに後期高齢者医療制度の被保険者のレセプト情報を収集し、これらのデータの統計解析を効率的に行うため、データベースの作成を行っている。①個人情報をハッシュ法により暗号化②実人員(名寄せ後)の把握③国保と後期の被保険者の連動によって医療費の地域格差、疾病構造と医療費の地域差の解析を進めている。また、社会資本整備水準に係るデータを活用し、地域社会が変容する過程で、医療サービスへのアクセスへの難易の格差による地域の医療機能が破壊されつつ新たに創出される胎動要因を明らかにし、その過程における医療の需給バランスの枠組みに係る研究を目指している。分析対象地域を、二次医療圏と三次医療圏が同一の市町村から1市1町を、二次医療圏 越えの受療(診)者が多いとされる医療圏から2町を、更に人口20~30万人規模の2市に加え、大都市に隣接する1市の計4市3町を選定し平成23年4月分から25年3月までの3か年の国保と後期の被保険者約31万人の診療分約1,300万レセプト件数のデータ解析の準備を整え、医療圏、都市部・町村部に着目しつつ、年齢階級別修正医療費比率の比較を行った。 医療費の支出額では、約5割を65歳以上の高齢者が占めており、また、季節変動には一定の傾向が見られる一方、疾病構造では、内分泌疾患、循環器疾患など生活習慣病に分類される医療費の突出等、地域特性の反映も認められ、医療サービスの公平、効率化に向けた取り組みの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は、医療法に基づく医療計画の見直しの時期にあたり、関連指標も明示され、市町村から提供受けたレセプトから地域医療サービスの課題の把握を行った。25年度においては、これらの資料を活用しつつ、各市町村の協力を得てレセプト情報のデータベース化に取り組んだ。これにより、医療サービスの需給面の実態を、医科・歯科別の科別、入院・入院外、疾病別、年齢階級別に解析可能な情報の入手ができ、医療の地域格差の一次的な分析を行った。更には、調剤情報、DPC適用医療機関別等の医療費と疾病内容の導出、分析によって、合併症の有無・医療機関へのアクセス情報を加えた二次医療圏域超えの受診行動や重複受療(診)するケースに係る情報の導出システムの活用段階に到達できた。 他方、個人情報の保護や事業活動情報の一部否開示の制約に加え、レセプト情報の性格と保険者が異なるという制度上の制約等から、解析上の幾つかの問題点も把握できた。 今後は、これらの諸課題を踏まえ、システムの改良・改善を図りつつ、23年度に遡って、本研究事業への支援、協力を得られる人口35万人規模の地方中核都市に係る被保険者のレセプト情報も加え、社会構造の変容が、医療資源(医療機能)の偏在への影響とともに、医療資源の効率性への影響を明らかにし、地域間・年代間の偏りの強弱、特定の年代に医療費消費の偏りが顕著である市町村、更に、疾病による季節変動の有無や、社会資本整備水準の程度、情報通信技術(ICT)活用環境の良否がもたらす地域医療サービス水準の維持向上に向けた調査分析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
国民健康保険と後期高齢者医療制度の保険者の支援、協力を得て、人口約78万人、被保険者約32万人に係る匿名化処理後のレセプト情報のデータ並びに各種社会資本指標を活用して、人口の高齢化、人口の減少傾向の強まり等、社会構造の変容に対応した医療サービスの在り方について、現行制度の医療圏域を中心に分析を進める。人口の高齢化は、医療費の増高を招き、疾病構造と病態(診療内容)の大きな変化要因と思料される。 他方、医療資源の制約性から、医療サービスの供給場面に変化をもたらす医療の多様性と非同質性を、受療(診)者の流動的な選好性に着目して、医療資源の効率化、医療機関へのアクセスの難易、医療システムがもたらす要因の強弱・影響度と医療の地域格差の明確化を図る。 このため、地域的範囲(対象市町村数)対象年度を拡大した上で、データの入手範囲と内容の充実を図りつつ、当面の市町村の要望にも配慮して、癌・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病・精神疾患等の疾病の診療情報の分析、地域・地区別比較など市町村単位の比較検討を併行する。その際、いつでも、どこでも、誰でも先進的な医療技術の成果を享受できる医療システムの下での需給面に作用する内容として把握し明確にする。 しかしながら、供給面における体制論については、個人情報の制約や医療機関の活動内容に立ち入ることの制約を受けることから、レセプト情報から得られる内容を前提にした分析を主眼とする。また、新たな仕組みへの胎動となる駆動力の明確化のため、地域特性の異なる複数の市町村の比較分析を通じて効率的な医療サービス態勢の設計と新たな医療システムマネージメントのための条件整理の明確化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各市町村から、提供を受けたレセプト情報は、研究者側で作成した匿名化処理プログラムの適用後の情報である。このため、レセプト情報の内容については、点検、検証作業を伴うものとなり、この作業に予想以上に時間を要したこと。さらに、システムプログラムの必要な改良・改善を図る必要が生じたこと。 また、市町村から、支援・協力を得ていることから、節目において、要請により、報告や説明に伺っているが、双方の都合により、年度をまたがって実施することと余儀なくされたこと等である。 次年度は、システムプログラムの必要な改良・改善を図り、研究成果のまとめを行うため、その内容や必要性を勘案して医療科学院との意見交換等を行う。また、日本医療・病院管理学会に出席し、情報収集と共に、本研究事業の中間時点における内容の自己評価に基づき、その後の研究の充実強化に資するよう取り進める。 これらに要する費用として、レセプトデータベースの分析システムの改良、市町村との連携及び情報収集費用に約31万円余を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)