2013 Fiscal Year Annual Research Report
早期喫煙暴露とCOPD患者における頸動脈内膜中膜複合体肥厚度の関係
Project/Area Number |
24659246
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
海老原 明典 東海大学, 医学部, 講師 (50593969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 明日香 東海大学, 医学部, 助教 (40514550)
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Keywords | COPD / IMT / 心血管イベント / 早期喫煙暴露 / 合併症 / 併存症 / systemic effects |
Research Abstract |
2011年度から全国的に喫煙率が高いとされる北海道えりも町にて早期喫煙暴露の影響に対し疫学的調査研究を実施した。昨年度の研究で得られた結果では、早期喫煙暴露と慢性呼吸器疾患の関係では、早期喫煙暴露歴(20歳未満の習慣的喫煙)を有し喫煙年数が多いほどCOPD罹患率は上昇傾向を示すことが示唆された。今年度は、頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)を用いた動脈硬化による血管イベントの発症リスクを、早期喫煙暴露歴を有するCOPD単独患者群と他の疾患を合併するCOPD患者群(糖尿病・脂質異常症・高血圧症等)に分け比較した。結果として喫煙暴露歴が大きく合併症を伴うことでIMTの肥厚傾向がみられ、血管内皮障害の進行が大きいことが示唆された。以下、方法・結果等に関し示す。 COPD単独の患者群をG1(男性28人、女性14人)(70.3 ± 8.7歳)、糖尿病・高血圧症・脂質異常症等の合併症を持つCOPD患者群をG2(男性23人、女性7人)(72.8 ± 9.8歳)とし、説明と同意の下、データ解析を行った。【結果】G1:G2 IMT±SD (1.36±0.63:1.46±0.98,p=0.07)、合併症・併存症を有するCOPD群ではIMTは上昇傾向を示した。【結論】Systemic effects による併存症が内在するCOPDに加え、動脈硬化に関連する合併症を持つ患者ではIMTの上昇傾向を認めた。これらの結果から、日常診療でのIMTの測定はCOPD患者での心血管イベントの予測因子に繋がる可能性が示唆された。【考察】各々の群では、COPDの他、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった、血管系に影響を及ぼす疾患の合併が含まれるが、早期喫煙暴露はIMTの肥厚の一つの重要な因子になる可能性が示唆された。 様々な健康被害を及ぼす喫煙が、糖尿病等の生活習慣病に合併することでIMTの変化へ大きな影響があることを示すことは禁煙活動へのさらなる啓発につながり、国民的な健康増進に寄与するものと考えられる。
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