2013 Fiscal Year Research-status Report
複数領域の融合による、相互の納得を目的とした説明同意過程の標準化に関する研究
Project/Area Number |
24659250
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
織田 順 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60459500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 香里 (鈴木 香里) 東京医科大学, 医学部, 助教 (10366130)
|
Keywords | 医療の質 / インフォームド・コンセント / 合意形成 / 診療方針決定 / 患者の権利 |
Research Abstract |
研究計画に沿って2年目の研究を行った。 (1)IC関連研究 手術・処置などについて各専門領域から考案したICプロセス、IC文書を解析し、融合をはかり書式を完成した。応募者らの以前の研究(領域別診療フレーム解析を用いた救急医療における医療安全と質保証に関する研究、基盤研究(B))により、専門科(分野)により思考のフレーム構造が異なることが明らかになった。例えば外科的フレームでは術前後と合併症対策にリソースを投入し、救急的フレームでは気道、呼吸、循環などのバイタルサイン安定化が軸となっている。このようなフレームの偏りはICプロセスに大きな影響を与えていると考えられるため、分担研究者との間で相互点検し確認した。ここからICプロセス・文書への専門領域別の特色(癖・傾向)を明らかにした。 (2)診療フロー関連研究 開発したABCD-INR-FT型アプローチの技術を用いて、集中治療領域においてほとんどの診療情報がA~Tいずれかに落とし込み可能であることが判明した。今までに明確な対策がなかった、集中治療における系統立てた診療情報記載、診療行為に対する動機と評価の可視化、それらを鎖状につなげる新書式、陰性所見の確認と記録手法、あいまい表現の排除を行う、新系統の文法というべき書式を開発した。最終年度に目標としている、電子化診療録への実装に関するコード開発が進められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・学会、講演等での発表は予定していた回数を超えて行えている。 ・最終年度に予定している、電子化診療録への実装について、本年度より手がけることができている。従って、来年度は実装のみならず、そこからデータ収集を行い解析するところまで可能になると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)法的に必要な事項が網羅されているかどうかについて、法学の観点から専門家による分析を行う。ここで、医療者の作成する文書の法的な弱点や、患者側立場に立った際に不適切と考えられ得る事例が蓄積されることが期待される。これを留意すべき事例集として一般化する。 (2)コミュニケーションの観点からは、連携研究者として会話分析の専門家の協力を得て、会話のかかり受けを主とした解析を行う。納得を得るように伝える、同意を得る、という日常的に繰り返されるやりとりは意外に分析の対象とされてこなかった。静的な解析としては、医療の情報を伝える際に使用される言葉のうち難解な用語を抽出し、これを解説する、といった研究が先行してきたが、本研究では動的なやりとりを対象とした上で、医療者と患者側のギャップを捉えて類型化する。また、上記の医学・法学の観点から構成した文章の表現について解析と改善点の提案を行う。 (3)診療情報について、ABCD-INR-FT標準化アプローチを電子化診療録に実装させる。可能な限り、これを用いたデータ収集を行い解析を手がけ、社会に還元する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に沿って進められているが、電子診療録へのアドオン(コード)を開発するための費用の支出が最終年度に先送りになったため。 研究計画に沿った使用計画となる。デジタルデータ収集のためのアドオン開発ならびに、成果発表を行うための費用として具体的に計画している。
|
Research Products
(17 results)