2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659253
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
岩本 英久 呉工業高等専門学校, 機械工学分野, 教授 (40232714)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 手術手技 / 運針 / ロボット外科 / 技能伝承 |
Research Abstract |
標準化すべき基本手術手技の動作として「運針動作」を選定し、運針動作を「刺入」と「引抜き」に分解した。「刺入」動作については手術器械の形状や術野の制約条件から,最適な操作方法を導出できた。その成果は2012年12月(大阪工業大学)に「ロボットを用いた外科運針動作のモデル化(第1報,刺入点を基点とする運針法の提案)」および「ロボットを用いた外科運針動作のモデル化(第2報,刺入点を基点とした運針法における組織損傷の解析)」として、第20回機械材料・材料加工技術講演会(日本機械学会)にて発表した。その内容は、刺入点を基点とする運針動作をモデル化し、縫合針の把持点の軌道と外科医が運針しやすいと想定される「円運動」との差を比較した結果、中央で深い運針が円運動に近かいことがわかった。また、ロボットで刺入動作を再現し、実験を行った結果、最大深さの位置が刺入点や刺出点に偏った深い運針では損傷部位の幅は大きくなり、中央で深い運針が適切な運針であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度は標準化する基本手術手技として、運針動作を選定し、それを「刺入」と「引抜き」という要素動作に分解できた。また、手術器械の形状から導出される最適動作の理論において、「刺入」動作については設計でき、学会発表ができた。しかし、2台目となるロボットが年度末に納入されたため、ロボットによる外科手術動作の再現システムの構築が遅れることととなり、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は「引抜き」動作について動作のモデル化を進めていく。まず、多摩丘陵病院(東京)の外科医に協力いただき、解析モデルとなる動作を4台のCCDカメラで記録し、手術器械の位置と速度を3次元で計測する。記録された動作について、代表的な引抜きパターンを設定して、ロボットで再現し、動作の質を判断する評価手法を考案する。また、2台のロボットを活用して、「刺入」と「引抜き」の2つの動作を連続して再現するプログラムを構築して、ロボットによる再現実験を行い、医原性の組織損傷量を検証し、医原性損傷の少ない動作を設計する。今後の発展として、2台のロボットを組み合わせて、両腕の動きを再現したいと考え、本研究の目標の一つである、「動作支援のための機器開発」を行いたい。また、最終目標である「基本手術手技伝承システムの開発」を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動作のモデル化においては外科医の動きを計測する際にオートフォーカスを手動にする機能が必要であるために、ビデオカメラ1台を9万円で新規に購入する。謝金は外科医と実験補助を行う2名の学生に支出するために6万円程度を計上している。旅費は東京出張や学会発表のために50万円を計上している。その他、消耗品として、手術用器械や実験材料として5万円を計上している。動画を解析するためのソフトとして8万円、ロボットハンドの製作費用として20万円を新たに計上している。
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