2013 Fiscal Year Research-status Report
内因性抗線維化分子に着目した、腎線維化の制御手段開発
Project/Area Number |
24659264
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
永井 貴子 金沢医科大学, 大学病院, 医員 (90625443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金崎 啓造 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60589919)
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Keywords | EndMT / AcSDKP / 糖尿病性腎症 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症に対して,RAS阻害薬であるARB(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)やACE-I(アンギオテンシンI変換酵素阻害薬)が末期腎不全への進行抑制のために臨床の現場にて用いられている。両者は同一視されがちであるが,Angiotensin以外にACE-Iに深く関与する基質が存在し,その経路を介することで抗線維化作用をもたらし,微量アルブミン尿抑制へと繋がることが示唆されている。その基質がAcSDKP(N-acetyl-seryl-asparytyl-lysyl-proline)で,抗線維化作用の他に,細胞増殖抑制効果,抗炎症効果,抗アポトーシス効果を有し,臓器保護効果も期待される。そこで,ACE-Iの臓器保護作用を見直すとともに,AcSDKPの作用が重要な位置を占めると仮定して,臨床的意義と創薬までも視野に入れた抗線維化薬としての今後の可能性を検討している。 上記課題に対して,当該年度は,AcSDKPによる抗線維化効果における内因性抗線維化プログラムの意義の解析を試みた。AcSDKPの腎保護効果が報告されるmicroRNA-let7に対する制御機構を前年度に使用した1型糖尿病モデルマウス腎臓サンプル,培養内皮細胞(HMVEC)を用いてWestern blot法をにて評価。それぞれ,糖尿病で低下していたFGF受容体リン酸化およびFGF受容体蛋白発現量がACE-I・AcSDKP併用で,サイトカイン刺激で抑制されたFGF受容体発現およびFGF受容体蛋白量がAcSDKP共孵置で正常化した。マウスサンプルにおいては,microRNA解析も施行。糖尿病腎で抑制されていたmicroRNA mmu-let 7familyがACE-I・AcSDKP併用で正常化傾向を示した。これらの結果と,前年度までのin vitroとin vivoの結果を踏まえて論文を作成,投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたmicroRNA解析にて,糖尿病においてAcSDKPにより惹起されるFGF受容体を介したmicroRNA RNA let-7発現の低下をACE-IおよびAcSDKPの併用療法にて改善させたことを確認し,治療標的がAcSDKP-FGF受容体-let 7であることを同定できた。これにin vivo,in vitroの実験結果も加えて論文作成・投稿し,BioMed Research Internationalにup dateされた。 一方で,糖尿病症例における各種臨床パラメーターと投薬内容,血中・尿中AcSDKP濃度の相関を5例から約30症例までサンプルを集めた。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 1)現在,進行中の糖尿病症例における各種臨床パラメーターと投薬内容,血中・尿中AcSDKP濃度の相関性を見出すために,臨床サンプルを集めを継続していく。 2)FGF受容体の分子機構の解析を検討していく。 3)糖尿病の合併症は腎のみではなく,特に糖尿病による線維化が生じる心臓および肝臓の代謝マーカーも検討する。 (次年度の研究費の使用計画) 上記1)の目的を優先し,臨床サンプルの評価のために必要なアッセイ試薬を購入する。
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