2012 Fiscal Year Research-status Report
細菌付着性多孔質微粒子を用いた腸内細菌培養法の確立
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24659266
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福島 浩平 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20271900)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | intestinal microbiota / culture |
Research Abstract |
本研究の目的は、セルロース粒子、チャコール(活性炭)などの細菌付着性多孔質微粒子を培養系に加え、細菌の固着性を確保することにより腸内環境の再現を図り、腸内細菌の構成と機能を生体内と同様に維持・培養するin vitroのシステムを構築すること、また、固着培養菌の性質を調べることである。本年度は以下の項目を実施した。 1. 基本となる培養液組成を検討し最終的に以下のように決定した。Starch 5、Pectin 2、Guar gum 1、Mucin 4、Xylan 2、Arabinogalactan 2、Inulin 1、Casein 3、Peptone 5、Tryptone 5、Bile salts 0.4、Yeast extract 4.5、FeSO4・7H2O 0.005、NaCl 4.5、KCl 4.5、KH2PO4 0.5、MgSO4・7H2O 1.25、CaCl2・2H2O 0.1、NaHCO3 1.5、Cystein 0.8、Henin 0.05、Polysorbate 80 (単位 g/L) 2. 糞便より採取した腸内細菌、リファレンス細菌としてEscherichia coli、Staphylococcus aureusを上記培養液中でセルロース粒子と1週間培養し、粒子への接着性をグラム染色により検討した。洗浄により細菌は遊離し、強固な付着は観察されなかった。 3. 腸内細菌を好気的および嫌気的環境下で培養し、DNAを抽出しTerminal restriction fragment length polymorphysm法で培養前、好気培養、嫌気培養で比較検討したところ、ピークパターンの明らかな変化が観察された。 以上より、細菌付着粒子の検討はさらに必要であるが、培養条件による腸内細菌構成の変化を分子生物学的にしかも網羅的にとらえることが可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
総合的に研究の進捗状況を評価した結果、やや遅れていると判断した。以下にその理由を列挙する。 1. 培養系において細菌の接着を期待する足場としては、糞便の状態を考えると数ミリ程度のサイズでしかも多孔性を有しあるものが望ましいと考えるが、セルロース粒子、チャコール(活性炭)以外に市販品として見つけられていない。細菌の「付着」を評価する際に、粒子を洗浄したのち凍結切片を作成しグラム染色にて細菌を染色している。この過程で2つの問題がある。一つは、粒子洗浄の強さを一定にコントロールできないことである。強く洗浄すれば「弱い付着」は外れてしまう。もう一点は、凍結切片を作成すると、グラム染色の過程で粒子がスライドグラスからはがれてしまうことである。その結果、付着の判定ができなくなる。 2. 腸内細菌の培養においては、pHを一定に保つべきであると考えられるが、嫌気環境下を維持し同時にpHの調節を行うことが現時点で困難である。現在、密閉容器内で炭酸ガスを発生させ、嫌気環境を維持しているが炭酸ガスが培養液に溶解することによる酸性化に対してpHを如何に一定に保ちつつかつ嫌気的環境を維持するかが問題であり、機材を適宜工夫する必要がある。 以上のように、研究の進展を妨げている理由は、実験システムを如何に組み立てられるかという問題がうまく解決されていないことである。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 細菌付着の足場としては、セルロースおよびチャコールに絞り検討を行う。 2. 細菌培養においてpHを生体内の環境に近似しつつ一定に保つことは重要であるが(大腸であれば弱アルカリ性)、pHの変動によって腸内細菌層がどのように変化するのかは十分明らかではない。本研究の目的であるin vitro培養システムの構築の目指すところではあるが、腸内細菌叢とpHの関係を検討する。 3. 購入予定であるpHコントローラーと密閉ボックスを用いた簡易嫌気培養システムの構築をはかる。本研究の成否はほとんどこのシステムの確立にかかっているといってよい。 4.細菌付着の評価について再検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] A Shift from Colon-to Ileum-Predominast Bacteria in Ileal-Pouch Feces Following Total Proctocolectomy.2012
Author(s)
M Hinata,A Kohyama,H Ogawa,S Haneda, K Watanabe, H Suzuki,C Shibata,Y Funayama,K Takahashi,I Sasaki,K Fukushima
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Journal Title
Digestive Diseases and Sciences
Volume: 57
Pages: 2965-2974
DOI
Peer Reviewed
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