2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659278
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
末広 寛 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40290978)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 膵癌 / コピー数多型 |
Research Abstract |
【研究背景および目的】我が国では死亡原因の第一位はがんであり、その対策は国民の健康という観点から最重要課題となっている。がんの死亡率を低下させる基本は、がんに罹患しないことである(予防に勝る治療法はない)。各人の各種のがんに対する感受性(なりやすさ)が予め評価可能となれば、「生活習慣や生活環境」改善を含めた具体的な予防策を講ずることが可能となるばかりでなく、現行のがん検診も効率的かつ効果的に実施でき、受診率を向上させることもできる。がん感受性評価方法としては、遺伝子多型のうちSNP(1塩基多型)がこれまで注目されていた。しかしながら、個々のSNPが、がん発生に与える影響はきわめて小さいことが判明している。一方、数千から数万塩基にわたるDNAコピー数に個人差がある「コピー数多型(CNP)」が2004年に発見され、これまでに精神疾患や腎臓病など様々な病気とCNPの関係が報告されている。膵がんとのCNP関連については報告はないため、この関連を明らかにするために本研究を行った。 【材料および方法】健常者80名、膵がん患者20名の末梢血よりDNAを抽出し、Roche Nimblegen社の210万プローブ搭載のDNAチップを用いてCNPを網羅的に解析した。 【結果】 膵がん患者と健常者のCNPを比較したところ、膵がん患者においてあるゲノム領域のコピー数が増加あるいは減少していることが分かった。すなわち、膵がん特異的なCNPが存在することが明らかとなった。この膵がん特異的なCNPは10カ所存在し、当該CNPの出現頻度は膵がん患者での55-70%であったのに対して、コントロール群では0-7%であった。 【今後の展望】 さらに症例数を増やして解析し、膵がん特異的CNPを明らかにしていく予定である。将来的には、低コストで高精度な膵がん感受性予測システムを構築したい。
|