2012 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病患者の予後予測スコアリングシステムの樹立
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24659279
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安部 尚子 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (70623271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 俊夫 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60183498)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 慢性腎臓病 / エクソゾーム |
Research Abstract |
1.尿中バイオマーカーの選定 これまでに行った、ネフローゼ症候群、腎不全モデルマウス(ICGNマウス)、メサンギウム増殖性腎炎モデル(Thy1ラット)、ループス腎炎モデル(MRL/lprマウス)などの尿サンプルを用いたエクソゾーム解析により、候補分子となっているNephrin、Podocin、CD2AP(CD2‐associated protein)、Tpbg、Afadin、Synaptopodinなどのポドサイトに特異的な分子、メサンギウム障害のマーカーであるSmad1、内皮細胞障害に関してALK1, Id1など、尿細管障害に対してSnail、AQP2などのCKD患者尿での発現の有無をWestern blotによって確認した。また、CKD患者の腎生検組織において、これらタンパク質の発現部位を免疫組織学的解析によって原疾患ごとに特定しており、予後予測スコアリングシステムに有用な候補タンパク群の選定を進めている、また、特異的な抗体が入手できたものからELISAを用いた測定システム樹立を進めている。 2.簡易尿中バイオマーカー測定法の確立:外来の随時尿などの少量(10-20ml)の尿を用いた簡便かつ迅速な測定法として、尿の採取法・保存法・添加するプロテアーゼの選択、測定にもちいる抗体量の調整などの最適化を行い、従来法で得られたサンプルとの比較によっても、エクソゾーム内のタンパク発現に差異がないことを確認した。 3.各種腎疾患患者の尿・腎組織サンプルのバンク化:腎生検により、確定診断の得られた腎疾患患者尿サンプルのバンク化、ならびにその背景となる臨床データを連結可能な匿名化を行い、個人同定ができないようにして収集し、バンク化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尿中バイオマーカーの選定、簡易尿中バイオマーカー測定法の確立、各種腎疾患患者の尿・腎組織サンプルのバンク化の3本の柱となる計画は予定通り進行しているが、唯一、動物モデルの尿サンプルが少ないため、動物購入を予定したが、25年度初めの搬入となった。しかしながら、尿中バイオマーカーのパネル化にむけた候補分子の選定は予定通りに進んでおり、25年度中には予定通りに計画を遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に選定した、腎構成細胞障害特異的でヒト尿サンプル測定に有用な尿中バイオマーカーを用いた、さまざまな腎疾患における解析を行う。腎生検にて得られた病理組織学的な病期、重症度、活動性と、われわれがすでに樹立している病理組織画像解析システムIPAPを用いた組織内での発現量との相関を統計学的に解析し、ELISAを用いた測定システムが樹立した候補マーカーを順次用いて、病勢・治療内容・治療への反応性などを反映するマーカーの同定を進める。尿タンパク、尿潜血、腎機能、酸塩基異常など、腎構成細胞障害を反映するマーカーの特定も行い、予後予測に直接影響を及ぼす因子を抽出する。一方で、年齢・性別による影響を加味するなど、個々のCKD患者に適応可能な尿中バイオマーカーパネルの基盤を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
尿サンプル数の不足していたマウス尿は、マウスの搬入にあわせて採取を進め、候補分子の尿中への排泄を確認する。腎構成細胞としてのメサンギウム細胞、内皮細胞、ポドサイトの障害にそれぞれ特異的な分子をヒト尿サンプルでの測定値を基に同定を進める。腎生検で得られた腎組織を用いて、それらの発現部位の確認と、病期における発現の変化を明らかにし、経時的な発現の推移が、原疾患の重症度、活動性と一致するかどうかを見極める。ELISAを用いた定量測定システムの樹立を進め、尿タンパク、尿潜血、腎機能、酸塩基異常などを反映するマーカーの特定も行う。次年度への繰越額968,827円は、マウスの購入・維持費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)