2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659285
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
飯沼 由嗣 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90303627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 尚志 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (60359750)
鈴木 匡弘 愛知県衛生研究所, 生物学部, 研究員 (70446649)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / 遺伝子タイピング / POT法 / MLST |
Research Abstract |
新たな緑膿菌のデジタル遺伝子タイピング法(緑膿菌PCR-based ORF typing; POT法)開発のために、全ゲノムシークエンスが判明している緑膿菌3株(PA7(NC_009656)、PA14(NC_008463)、PAO1(NC_002516)) のゲノム塩基配列を比較し、菌株により保有状態の異なる部分のデータから候補となるOpen Reading Frame(ORF)を100前後を選別した。更に臨床分離緑膿菌のORF保有状態をPCR法により解析し、POT法に適すると考えられるORFを24個に絞り込んだ。さらに菌株数を増やし、アウトブレイクにて検出された菌株、多剤耐性緑膿菌、メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生緑膿菌などを含め検討を加えた。同時にパルスフィールド電気泳動(PFGE)法やmultilocus sequence typing(MLST)など他のタイピング法との比較検討も行い、最終的には10個のgenomic island由来ORFを選定し、加えて菌株識別能を高めるために、5個のファージ由来ORFを選択した。またわが国において多剤耐性緑膿菌の多くを占めるMBL産生株の識別のために、比較的頻度の高いIMP型およびVIM型のMBL遺伝子も採用した。最終的には緑膿菌マーカーもそれぞれに加えた、10および9-pkexのmultiplex PCRを行い判定できるようprimerを設計しなおし、genomic islandとファージ+MBLのORFの有無を10進法に変換し、タイピング結果とした。加えて、PCR試薬類や条件について実験を繰り返し、最適な条件設定を行った。PFGEおよびMLSTが判明している保存株との比較により、PFGEとほぼ匹敵する識別能を有し、genomic island部分の結果(数字)は菌のMLSTを反映することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、緑膿菌の全遺伝子配列をもとに、multiplex PCR法を用いた簡易なデジタルタイピング法であるMRSA POT法の開発技能を緑膿菌に応用しようと試みたものである。全ゲノムシークエンスが判明している緑膿菌の遺伝子のORFから本法に適すると考えられた10個のgenomic island由来ORFおよび5個のファージ由来ORFの選定を行い、さらにPCR条件の最適化もほぼ完成した。さらに、PFGEおよびMLSTが判明している保存株との比較検討を行い、PFGEとほぼ匹敵する識別能を有し、genomic island部分の結果(数字)は菌のMLSTを反映することが確認された。研究成果については、関連学会にて発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究課題の最終年度となるが、菌血症などの重症感染症を起こした菌株、集団感染の原因となった菌株、多剤耐性菌などの多様な背景を持つ臨床分離株を追加検討して本タイピング法の識別能、安定性、再現性などの評価を行う予定である。また、遺伝子タイピングのスタンダードであるPFGE法や、MLSTなどの他の遺伝子解析法との関連性についても追加して解析評価を行う予定である。同時にPCRプライマー設計や反応条件についても最適化のために更に評価を加える。またあわせて院内感染や感染症予後などの臨床背景との関連性についても解析をすすめ、緑膿菌POT法の完成および本法を用いた緑膿菌感染制御対策の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、大型機器類の購入の予定はなく、主として実験のための試薬類に使用する予定である。また、研究成果の発表および情報収集のための学会出張旅費にも使用する予定である。
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