2013 Fiscal Year Annual Research Report
MALDI-TOF-MSを使用した感染症迅速診断システムの開発
Project/Area Number |
24659286
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
小松 方 天理医療大学, 医療学部, 准教授 (00626814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 収二 天理医療大学, 医療学部, 教授 (20626816)
近藤 明 天理医療大学, 医療学部, 講師 (10570236)
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Keywords | MALDI-TOF-MS / 尿路感染症 / カルバペネマーゼ / 感染症迅速診断 |
Research Abstract |
【はじめに】Matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry(MALDI-TOF-MS)は細菌集落の迅速同定法として臨床微生物検査室へ普及しつつある。本法を応用することで臨床材料中に含まれる病原性細菌を検体が検査室に提出されてから30分足らずで同定を可能とするシステム開発を試みた。さらに細菌集落を用いて臨床的に重要視されている抗菌薬耐性因子であるカルバペネマーゼのペプチド解析による迅速同定法の開発を試みた。【方法】MALDIバイオタイパー ver.3.1(Bruker社)を使用した。①尿中細菌の迅速同定:膿尿かつグラム染色で単一菌感染症と判断した106検体を使用した。菌塊を砕く超音波処理を実施後、低遠心法とフィルター法の二法を使用して白血球と細菌の分画を行った。二法の性能を分離培養で得た同定成績と比較した。 ②カルバペネマーゼ産生株の迅速同定:PCRでIMP-1構造遺伝子を増幅しpETベクターにクローニングした。IMP-1を精製後、トリプシン消化しMALDIでIMP-1ペプチド断片を検出した。これを陽性コントロールとして臨床分離株からの直接検出法を検討した。 【結果および考察】①の成績:検出感度は10^5~10^6 CFU/mLであった。属レベルの同定一致率はグラム陰性桿菌は低遠心法92%、フィルター法93%、グラム陽性球菌は低遠心法65%、フィルター法67%であった。前年度の実験で菌塊形成菌は回収率が30%程度と低かったが、超音波処理の追加で検出率は大きく向上した。すべての工程は20分程度で完了した。②の成績:クローンからのIMP-1特異ペプチドは80%以上回収できた。一方臨床分離株の多くはペプチド断片を検出できなかった。引き続き新たな前処理法を検討する必要があった。
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