2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659287
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
池中 一裕 生理学研究所, 分子生理研究系, 教授 (00144527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
文堂 昌彦 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 脳機能画像診断開発部病態画像研究室, 室長 (10426497)
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Keywords | 髄液 / 糖鎖解析 / 突発性正常水頭症 |
Research Abstract |
脳と脊髄間を循環する脳脊髄液は、中枢神経系の代謝異常を多く反映する。そのため、各種中枢神経性疾患のバイオマーカー探索源として注目されており、早期診断法確立のための研究が進められている。本研究では、これまで定量的な解析が困難であった脳髄液中のN結合型糖鎖解析を行い、各種認知症のマーカー候補を探索することを目指した。研究代表者は、微量な試料から糖鎖を分離・定量する方法を開発したので、その技術を脳脊髄液中のN結合型糖鎖に応用して本研究を行った。 本年度までの研究では、3次元HPLCシステムを用いて、脳脊髄液中に含まれるN結合型糖鎖の網羅的な解析及び試料調整方法の確立を行った。その結果、主要な糖鎖構造を同定し、血清や抗体、脳に多く含まれる糖鎖が脳脊髄液中にも含まれることが明らかとなった。試料は、正常圧水頭症の疑いのある患者からタップテストによって得られたものを用いた。試料調整方法の確立には、1患者の脳脊髄液を採取後、時間経過や凍結融解を繰り返すなど種々の条件において糖鎖パターンの比較を行った。その結果、採取後の時間変化・温度変化には安定していることが分かった。 本年度の研究では、引き続きN結合型糖鎖の解析を進めると同時に、患者の診断を行った。患者の確定診断の結果と脳脊髄液中に含まれるN結合型糖鎖組成がどのように各種神経疾患と連鎖しているのか検討した。その結果、各糖鎖組成割合によって患者を大きく分けて7つのグループに分類することができた。また、特定の糖鎖同士の組成割合に相関関係があることが明らかになった。 今後は、多数の脳脊髄液試料のN結合型糖鎖解析を継続するのと同時に、新規に中枢神経性疾患のないサルの脳髄液試料の解析を行う。健康な状態での各糖鎖組成の知見を得ること、個体差におけるばらつきの傾向をつかむことを目指す。
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