2013 Fiscal Year Research-status Report
モルヒネ耐性発現における活性代謝物モルヒノンの役割解明
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24659289
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
成松 鎮雄 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20113037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 順治 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (30332795)
埴岡 伸光 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (70228518)
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Keywords | モルヒノン / モルヒネ / エピモルヒネ / 耐性発現機構 / μ-受容体 / モルヒネ6位脱水素酵素 |
Research Abstract |
1)ヒト胎児腎臓由来 HEK293細胞におけるラット μ-受容体の動態検討:福岡大学の山野教授との共同研究で、蛍光タンパク質(GFP)融合型ラットμ-受容体発現 HEK293細胞系にモルヒノン (MON) を添加して、GFP融合型ラットμ-受容体のインターナリゼーションの確認、及びMON結合 μ-受容体の同定を進めている。これまでの予備実験で、μ-受容体アゴニストDAMGO処理細胞またはモルヒネと PKC 阻害剤処理細胞でμ-受容体のインターナリゼーションが確認されたことから、MON処理細胞でのμ-受容体の細胞内動態検討に着手した段階である。また、MON結合μ-受容体の同定については、抗ラットμ-受容体抗体および抗 GFP 抗体を用いたウェスタンブロットでGFP融合型ラットμ-受容体の検出を進めている。 2)モルヒネからのMON生成反応に関与する酵素の遺伝子クローニングと酵素タンパク質発現:ラットにおいてモルヒネからMONの代謝が起こり、モルヒネ6位脱水素酵素の関与が報告されているものの、その遺伝子クローニングや発現タンパク質の酵素化学的性質は明らかでない。本課題ではMON生成酵素反応の解析も重要な目的であり、松山大学薬学部の舟橋教授との共同研究により、ラット肝臓から、モルヒネ生成の主要酵素(モルヒネ6位脱水素酵素)と推察される、17β-hydroxysteroid dehydrogenase (17β-HSD) type 2並びにtype 6をコードする cDNAを各々クローニングして、Sf 9昆虫細胞 に酵素タンパク質を発現させることにした。これまでに17β-HSD type 2の発現酵素を得ることができ、補酵素NAD+存在下にエストラジオール (E2) を エストロン (E1) に代謝することを確認した。現在、モルヒネあるいはエピモルヒネからのモルヒノン生成能力を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「モルヒネからのモルヒノン生成反応に関与する酵素の遺伝子クローニングと酵素タンパク質発現」に関しては、順調に進んでいる。その一方で、「研究実績の概要」に記述したように、「ラットμ-受容体の動態検討」の項目で、抗ラットμ-受容体抗体および抗 GFP 抗体を用いたウェスタンブロットでGFP融合型ラットμ-受容体の検出を行っているが、低発現量、あるいはプロテアーゼ分解のためか、予想される分子量のバンドが確認できていない。発現量を上げるべく、現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ラット肝臓から cDNAをクローニングし、昆虫細胞発現に漕ぎ着けた17β-HSD type 6と現在、発現実験を進めているtype 2 の酵素化学的性質を明らかにすると共に、モルヒネあるいはその構造異性体であるエピモルヒネからのモルヒノン生成能あるいはモルヒノンからモルヒネまたはエピモルヒネへの逆反応の進行条件を検討する。また岐阜大学(原博士)から供与されたマウスAKR1C13とラット 17β-HSDの間での酵素化学的性質の相違を詳細に比較する。 2)ヒト胎児腎臓由来 HEK293細胞におけるラット μ-受容体の動態検討については、モルヒネのみならず、活性代謝物であるモルヒノンあるいは、コデイノンの代謝物コデイノンをGFP融合ラットμ-受容体発現HEK293細胞を添加し、細胞膜からのインターナリゼーションの有無を観察すると共に、GFP融合ラットμ-受容体並びに17β-HSD共発現ベクターの構築、あるいは適当なタンパク質分解酵素阻害剤を用いることにより、モルヒノンあるいはコデイノン結合μ-受容体タンパク質を探索・分離し、電気泳動的手法並びにLC/MS/MS、TOF-MS等の高感度分析法により活性代謝物結合アミノ酸残基の同定を進める。 これらの実験成果を統合することにより、モルヒネの耐性獲得におけるモルヒノンの役割とそのメカニズムについて考察を加える。
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