2013 Fiscal Year Research-status Report
「プラセボ除痛」条件付けモデルの脳内機序解明の試み
Project/Area Number |
24659291
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武 幸子 九州大学, 医学研究院, 准助教 (80253425)
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Keywords | プラセボ / 条件付け / 自発痛 / 除痛 / 情動 / running wheel / open field / 脳内機序 |
Research Abstract |
前年度、制限飲水下のラットで、無条件刺激(UCS)としてカラゲニン足底皮下投与、条件刺激(CS)としてサッカリン水飲水を用いて、「痛覚条件付けモデル」を;さらに、UCSとして鎮痛剤腹腔内投与、CSとしてサッカリン水飲水を用いて、「除痛条件付けモデル」を作製した。その際、特に「除痛条件付けモデル」において、個体により条件付けされる「除痛」の程度は大きくばらついた。痛覚には不快感という情動が常に伴い、情動傾向は個体により異なることから、条件付け前に、オープンフィールドテストを施行して、不安傾向の高い動物を実験群からはずすこととした。さらに、除痛のUCSとしての鎮痛剤腹腔内投与によるストレスを軽減するため、あらかじめハンドリングを行っておくこと、短時間の吸入麻酔を使用することで、条件付けされる「除痛」の程度は比較的安定した。 さらに従来痛覚閾値の評価として、圧刺激を用いたvonFrey法、熱刺激を用いたホットプレート法を用いていたが、いずれも与えた刺激により誘発された疼痛に対する急性反応の変化を痛覚閾値の評価として用いるものである点、また、実験者による評価に主観的なばらつきが生じる可能性がある点が問題点として浮かび上がってきた。そこで、自発痛による行動量の低下を、runnning wheel を用いて評価する系を立ち上げることとした。自発行動量の変化を評価することで、自発痛の評価ができる点、および、疼痛による動機付けの変化をも含めた包括的な「疼痛」の評価が可能となる点で「プラセボ除痛」の評価法としてはより最適な評価が期待され、加えて、数値化されたより客観的な疼痛評価が可能となる。さらに、制限飲水自体がストレスになることを考慮して、飲水の制限時間を短くし、より実際的な「プラセボ除痛条件付けモデル」へと改良した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度は条件付けモデルの作製を行ったが、個体によるばらつきが予想以上に大きく、年度内の予定が完了せず、研究費の一部を翌年度に持ち越した。平成25年度、このばらつきを低減するため、疼痛の評価に主体的な自発運動量を加えることを計画した。ところが、自発運動測定装置の輸入による納期が秋にずれ込み、加えて、予定していたポスドク研究員が都合により来日できなくなり、研究計画に新たに大幅な遅れが発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
疼痛による動機付けの変化をも含めた、包括的な「疼痛」の評価を可能とする系として、自発痛による行動量の低下をrunnning wheel を用いて客観的に定量評価する系を立ち上げた。さらに、制限飲水自体がストレスになることを考慮して、飲水の制限時間を短くし、より実際的な「プラセボ除痛条件付けモデル」へと改良した。このモデルを用いて、脳内機序の解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は条件付けモデルの作製を行ったが、個体によるばらつきが予想以上に大きく、年度内の予定が完了せず、研究費の一部を翌年度に持ち越した。平成25年度、このばらつきを低減するため、疼痛の評価に主体的な自発運動量を加えることを計画した。ところが、自発運動測定装置の輸入による納期が秋にずれ込み、加えて、予定していたポスドク研究員が都合により来日できなくなり、研究計画に新たに大幅な遅れが発生した。 新たな「プラセボ除痛条件付けモデル」を用いた脳内機序解析のための試薬およびマイクロダイアリシスプローブ、および動物関連経費等の消耗物品費に使用予定である。
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Research Products
(3 results)