2012 Fiscal Year Research-status Report
緑膿菌由来セラミダーゼによる三次元培養正常ヒトケラチノサイトの免疫応答の解明
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24659293
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩渕 和久 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10184897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 康 順天堂大学, 医学部, 教授 (90245738)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | セラミド / ケラチノサイト / 炎症 / 掻痒 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(AD)患者では、角層のセラミド含量の減少がバリア機能異常の原因の一つと考えられている。AD患者皮膚にセラミダーゼ産生菌が高頻度に検出され、セラミダーゼ活性が高いとの報告がある。セラミダーゼで生じるセラミド代謝産物は様々な生物活性を示すが、これら代謝産物が分化過程にあるケラチノサイトの痒みに関わる免疫応答にどのように影響するかは不明である。そこで、三次元培養ケラチノサイトは正常に分化し、バリア機能をもった角質層を形成する。この点に着目し、バリア機能をもった三次元培養ケラチノサイトを用いて、角層の透過性を亢進するTriton X100存在・非存在下で、AD患者由来緑膿菌由来セラミダーゼを作用させた。 角層を破壊する溶液としては、各種界面活性剤がある。そこで、ニトロセルロースフィルターに反応液を湿らせて角質の上に載せて、24時間後に反応を見ると、ケラチノサイトは緑膿菌由来セラミダーゼ特異的にTMF-α遺伝子発現を上昇させた。この反応は、Triton非存在下では起こらなかったことから、角層がTritonで障害を受けることで、セラミダーゼが作用してケラチノサイトは反応したと考えられた。セラミドはセラミダーゼによって、脂肪酸とスフィンゴシンに分解される。そこで、セラミド分解物について検討を行ったところ、スフィンゴシンにTNFαのメッセージを上昇する活性があった。スフィンゴシンはケラチノサイトでスフィンゴシン1リン酸(S1P)にリン酸化されることが知られている。そこで、S1Pを用いて、反応させたところ、S1PはケラチノサイトのTMF-α遺伝子発現上昇を示した。これらの結果は、セラミダーゼによって角層セラミドが分解されると、スフィンゴシンがケラチノサイトでS1Pとなり、ケラチノサイトに炎症応答を誘導すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緑膿菌由来セラミダーゼによるケラチノサイトの反応がセラミド分解物の中では、スフィンゴシン1リン酸であることがリアルタイムPCR法を用いて分かった。そこで、これらの結果に基づき、DNAマイクロアレイを用いて解析を始めることとしており、計画に沿って、データが得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
セラミダーゼやS1Pを三次元培養ケラチノサイトに作用させた際に、どの様な分子の発現が変動するかをDNAマイクロアレイ解析により明らかにする。既に必要となるRNAの調製は済んでおり、現在、解析を順次行っている。変動の大きい分子について、定量的リアルタイムPCRにて定量的に遺伝子発現を解析することで、特にS1Pによってケラチノサイトがどの様に反応するかを明らかにする。また、変動が明らかとなった分子について、アトピー患者皮膚においても同様に発現変動しているかを調べたい。これらの研究を推進するために、今年度の予算では、三次元培養ケラチノサイトやDNAチップ等を中心に購入する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ケラチノサイトの三次元培養キットは1キット8万円、DNAマイクロアレイチップが1枚5万円することから、これらを効率よく用いて研究を展開する予定である。
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Research Products
(5 results)