2012 Fiscal Year Research-status Report
プロテオーム・メタボローム解析を用いたALS発症機構の解明とバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
24659300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
及川 伸二 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10277006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨本 秀和 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80324648)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 酸化ストレス / 脳脊髄液 / プロテオーム / バイオマーカー |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、難治性の神経変性疾患で、平均59歳と比較的早期に発症し、病状の進行に伴ってADL(日常生活動作)やQOL(生命・生活の質)に著しい低下をもたらす。ALSの原因や発症機構は未だ不明であり、また治療法や特異的な診断法も確立されていない。しかし、多くの研究から、ALSにおいて活性酸素種が神経細胞死や疾患の発症に深く関与していることが報告されている。本研究は、プロテオームおよびメタボローム解析のデータを統合し、活性酸素高感受性のタンパク質や代謝産物の動態を明らかにすることにより、ALSの発症機構の解明を行う。また、ALSの治療法や特異的な診断法も確立されていないことから、ALS患者の脳脊髄液や血清、血漿を用いて、発症リスク評価法の確立に必須な特異的バイオマーカーの探索も行う。 三重大学医学部付属病院 神経内科を受診したALS患者6名と非ALS患者6名から脳脊髄液を採取した。脳脊髄液300ul~600ulを2-D Clean-Up Kit (GE Healthcare)で精製・濃縮し各サンプルからそれぞれ50ug~100ugのタンパク質を得た。蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動解析システム(2D-DIGE)を用い、各サンプルのタンパク質25ugを蛍光色素(Cy dye)でラベル後、固定化pH勾配ゲルpI 3-10(Immobiline DryStrip)を用いて一次元電気泳動を行い等電点で分離し、その後12.5%ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEで分子量により分離(二次元電気泳動)した。その後、Typhoon FLA9500イメージアナライザーを用いてスキャンデータを取得した。それらのデータをDeCyder 2D Software (Version 7.0)にてスポットの解析を行い、各サンプル約1000個のスポットを検出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、弧発性のALS患者および非ALS患者それぞれ6名から脳脊髄液を採取した。さらに、現在も継続して脳脊髄液の採取を行っている。採取した脳脊髄液は、凍結保存後、タンパク質を精製・濃縮し、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動解析システム(2D-DIGE)により、各サンプルのスポット検出を行った。検出したスポットを、DeCyder 2D Software (Version 7.0)にて統計解析を行い、タンパク質の変動を網羅的に解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、変動のあったスポットについてタンパク質の同定を進めていく。さらに、同じ被験者の脳脊髄液から、二次元電気泳動-ウェスタンブロット解析を行い、酸化損傷を受けたタンパク質(カルボニル化タンパク質)を検出する。ALS患者および非ALS患者の検出結果を画像解析ソフト(PDQuest)を用いて解析し、各タンパク質のカルボニル化量の変動を網羅的に定量する。これらの結果からALS患者において特異的に酸化損傷が増加しているタンパク質を特定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(20 results)