2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒ素化合物の形態別抽出による新規系統的GC/MS分析法の確立
Project/Area Number |
24659302
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長尾 正崇 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (80227991)
|
Keywords | 衛生 / 分析化学 / 産業衛生 |
Research Abstract |
本研究では、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)による、生体試料中ヒ素化合物(ヒ酸、亜ヒ酸、メチルアルシン酸)の同定・定量分析に至るまでのハイスループット分析法の開発を目的とするが、本年度は、1)系統的化学形態別抽出法の検討、2)固相抽出並びにスケールダウンの検討、3)バリデーションの評価を行った。 1)系統的化学形態別抽出法の検討:前年度の結果をもとに、塩化スズ+ヨウ化カリウムで還元した後に2,3-ジチオ-1-プロパノール(BAL)で誘導体化して有機溶剤抽出することで無機ヒ素(亜ヒ酸、ヒ酸)と有機ヒ素(メチルアルソン酸)を区別して検出することが可能となった。また、無処理のままBALで誘導体後に有機溶剤抽出、抽出残渣を塩化スズ+ヨウ化カリウムで還元した後に2,3-ジチオ-1-プロパノール(BAL)で誘導体化して有機溶剤抽出することで亜ヒ酸、ヒ酸メチルアルソン酸を区別して検出することが可能となった。 2)固相抽出並びにスケールダウンの検討:MonoSpinC18を使用して0.5mlからの抽出が可能となり、スケールダウンに成功した。固相抽出基剤の種類を検討したが、回収率の面でC18が優れていたため、以降の実験ではC18を使用することとした。 3)バリデーションの評価:FDAの生体試料中の薬毒物分析ガイダンスに則り、再現性などを検討し、ガイダンスを満足する結果が得られ、本研究で開発した方法は、再現性の高い方法であることが保証された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおりの目的を達成し、研究は概ね順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究期間の最終年度の当たるため、開発した方法の評価・改良を行うとともに、現状で実施されているHPLC-ICP/MSで指摘されている施設間誤差の問題について検討を行い、研究を総括する。 1)開発した方法の評価・改良については、既存の報告例などと比較することで、実務面での利点・欠点を整理して、実際の健康診断などに活用できる手法へとシェイプアップする。 2)施設間誤差などについては、中央労働災害防止協会の竹内靖人氏らから本研究で構築した方法についての助言をもらい、施設間誤差などについての検証を行う。
|