2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素化合物の形態別抽出による新規系統的GC/MS分析法の確立
Project/Area Number |
24659302
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長尾 正崇 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (80227991)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 衛生 / 産業衛生 / 分析化学 / 前処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)による、生体試料中ヒ素化合物(ヒ酸、亜ヒ酸、メチルアルシン酸)の同定・定量分析に至るまでのハイスループット分析法の開発を目的とするが、対象とするヒ素化合物は、食餌の影響を受け難い、3種類(亜ヒ酸、ヒ酸、メチルヒ酸(メチルアルソン酸))とする。 前年度までに確立したMonoSpin C18を用いたヒ素の系統的化学形態別抽出法(塩化スズとヨウ化カリウムで還元した後、2,3-ジチオ-1-プロパノールにて誘導体とする方法)を使用してGC/MSにて分析を行い、従来用いられているHPLC-ICP/MSとの相関性について検討を行った。また、実際の健康診断への活用を検討した。 無機ヒ素(亜ヒ酸、ヒ酸)量と有機ヒ素(メチルアルソン酸)量の規格化された尿(ClinChek, RECIPE)を購入し、本法で検証した結果、精度良く規格値内に入ることも確認できた。また、ICP/MSと分析値を比較した結果、無機ヒ素(亜ヒ酸、ヒ酸)量と有機ヒ素(メチルアルソン酸)量に分けた相関は、良好な関係が得られた。本法は、塩化スズを使用する必要があるものの遠心分離のみで抽出が行えることから、特殊な技能も必要とされないことから実用的にも有用であると考えられた。本研究で確立した方法では、亜ヒ酸とヒ酸を分離することも可能であるが、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令では、亜ヒ酸とヒ酸を分割して分析する必要性は明記されていないことから、無機ヒ素(亜ヒ酸、ヒ酸)と有機ヒ素(メチルアルソン酸)を同時に抽出できる方法が、工程数を削減でき、実務的な方法であることも検証された。
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