2012 Fiscal Year Research-status Report
妊婦外来における減塩指導のための食事内容自己調査システムの開発
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24659314
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 博 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60215829)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 食塩 / 食事 / 血圧 / 妊娠 / 妊娠高血圧症候群 / タッチパネル / コンピューターシステム / 自己診断 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一にタッチパネル式パソコン上で食事内容を選択し、塩分摂取量を算出する塩分診断システムの開発において、同時に実施された24時間塩分排泄量との関係から、本システムにおける24時間塩分排泄量の推定アルゴリズムを構築することである。第二に本システムを妊婦の食塩摂取量診断に応用し、その有効性を評価することである。 平成24年度は、内科外来患者204名において、24時間蓄尿による尿中食塩排泄量と本システムによる食塩摂取量の関係から、二者間の関係をより高めるアルゴリズムを決定した。 24時間食塩排泄量は平均9.7g、本システムによる推定塩分摂取量は平均9.1gであり、両者間の相関係数は0.66(p<0.001)であった。推定塩分摂取量に食事量の選択カテゴリ1上昇毎食塩0.09g、味噌汁1日摂取量カテゴリー1上昇毎食塩0.35g、活動レベルカテゴリー1上昇毎0.03gの塩分摂取量を加算することで、本システムによる塩分摂取量と、24時間塩分排泄量との相関係数は、0.72 (p<0.001)に上昇した。この相関係数は、通常診療に用いられているスポット尿より算出された推定食塩排泄量と、24時間尿中食塩排泄量との相関係数0.4-0.5に比べて明らかに高い値であり、疫学における、あるいは日常臨床における高血圧患者の食塩摂取量推定に有効性の高いことを証明した。 次いで、試験的に本システムを用い、妊婦外来において本システムによる食塩摂取量と24時間蓄尿による食塩排泄量の関係の検討が開始された。併せて、食塩摂取量と、K摂取量、尿中微量アルブミン排泄量との関係が、予備的に検討された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 食事、食塩調査システムの開発 当初の目的通り、平成24年度には、タッチパネルコンピューターを用いた食品選択による。1日食塩摂取量と24時間蓄尿による24時間食塩排泄量の関係に関する検討が終了し、本システムによる食塩摂取量を推定する最適アルゴリズムの構築が終了した。本システムの構築過程は、日本高血圧学会臨床高血圧フォーラム、実地臨床高血圧研究会、減塩サミット呉2012などにおいて、その成果が報告されると同時に、英文論文Validity of salt intake assessment system based on the 24-h dietary recall method using touch panel computerとして投稿の準備が終了した。 2. 食事、食塩調査システムのアプリケーションテスト。 当初の目的通り、平成24年度には、今日までに完成したアルゴリズムを用いた本システムを、妊婦健診時の食塩摂取量調査に用いるアプリケーションテストが予備的に開始され、このデータを平成25年度の基本情報とし、本年度は、本格的に本システムの妊婦へのアプリケーションテストを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の本システムの妊婦に対する試験的アプリケーションテストに引き続き、1)妊産婦の食塩・食事摂取状況の把握、2)食事・食品別の食塩摂取寄与度の算出、3)高および低食塩摂取者間の基礎特性(年齢、BMI、既往歴、妊娠歴、血圧等)の同定、4)妊娠診断から出産までの食塩摂取量の推移、特に家庭血圧の推移、食塩摂取量推移とアンソロポメトリーの推移の関係を検討し、妊婦血圧と妊娠高血圧における食塩摂取量の役割を検討する。 本システムは、推定された食塩摂取量を妊婦に即時的にフィードバックすることが可能となる。このシステムを用いることで、妊婦は経時的に食塩摂取量を認識する機会を得られる。従って、減塩の動機づけ、減塩方法の習得に本システムは応用可能であり、減塩啓蒙ツールとしての活用を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ平成25年度と同様な研究費の使用計画となるが、塩分分析ソフトウエアとハードウエアの購入は本年度は予定されない。その代わり、妊婦食塩摂取と血圧の関係を妊娠期間中追跡する目的で、家庭血圧が購入され、妊婦による妊娠期間中の血圧測定がこれまで以上に行われる予定である。 また平成24年度に予定した英文論文の校閲が今年に繰り越されて実施されるのでその費用が計上される。
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