2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659316
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 恭子 東北大学, 大学病院, 特任講師 (90535600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 元 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (10317745)
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Keywords | 血縁構造化 |
Research Abstract |
疾患発症リスクとなる環境要因を同定することが目的の伝統的なコホート研究では、対象集団の血縁構造が必ずしも十分には考慮されてこなかった。しかし、極めて近い遺伝的背景をもつ血縁者が対象集団内に多数存在した場合には、環境因子と疾患罹患リスクの関連分析において、この遺伝的背景による誤った交絡を大きく受ける可能性がある。 そこで、グローバルCOEプログラム分子疫学コホート研究において山形県高畠地域で収集された集団サンプル1,617人を用いて、一塩基多型を用いたゲノムワイド関連解析により血縁構造を検出し(20.2%)、極めて近い血縁者を除外した集団と、除外しない集団で、表現型と環境因子との関連性の結果に違いがあるか検証した。表現型データとして血圧値、リスク環境因子としてBMI、喫煙歴、飲酒歴を用いた。 交絡因子としての血縁構造化の影響が深刻な問題となる検証結果はなかった。したがって、血縁構造を考慮した場合と考慮しない場合で、両集団間で結果に大きな違いがみられなかったため、正確な血縁関係を十分に考慮せずに解析を行ってきたこれまでの疫学研究の成果を再検証する必要性は示唆されなかった。その一方で、遺伝率の大きさによってはその交絡因子としての影響が懸念される可能性が示唆され、今後、更なる詳細な検証が必要であることが示された。地域集団の未記録の血縁構造をどのように調整することが可能か、対象とする表現型の有病率、リスク環境因子の効果サイズ、血縁構造化の程度、サンプルサイズの観点で詳細に検証していく必要がある。
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