2012 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD不足症の運動器障害・要介護に及ぼす影響の解明:大規模住民コホートの追跡
Project/Area Number |
24659317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60240355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久根 徹 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60282662)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401064)
村木 重之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40401070)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / ビタミンD不足症 / 疫学 / 国際比較 / 国際情報交換(英国) |
Research Abstract |
運動器障害予防のために設立された大規模住民コホート研究Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability(ROAD)において、本年度は山村コホートにおいて3回目の調査を実施した。本研究では、調査時に同意の得られた参加者から、25(OH)D測定サンプル採取のための採血を行うとともに、骨粗鬆症、変形性関節症、筋肉減少症、骨折の判定に必要な骨密度検査、X線検査、筋量検査、握力測定を行った。サンプルは採取後直ちに血清分離を行い、血清は-80℃のフリーザーで保管した。来年度は漁村においても同様の採血を行う予定であり、住民の第3回調査における25(OH)D測定は、山村、漁村のサンプルが集まってから一括して行うこととしている。 一方、過去2回の調査における両地域の住民の25(OH)D測定結果を解析することによって、ベースライン調査参加者の血清25(OH)Dの平均値(標準偏差)は23.3 (6.6)mg/mL (男性25.7 (6.5)ng/mL、女性22.0 (6.2)ng/mL)であり、女性に有意に低かったが、年代では明らかな差異が認められないことを明らかにした。さらに血清25(OH)D値が10ng/mL未満をビタミンD欠乏症、10 ng/mL以上30 ng/mL未満をビタミンD不足症と定義した場合、ビタミンD欠乏症の有病率は1.2% (男性0.3%、女性1.7%)と低かったが、ビタミンD不足症の有病率は 81.3% (男性72.1%、女性 86.3%)と高いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にある通り、本年度は、ROAD山村コホートの3回目の調査を実施し、同意の得られた参加者から調査時に採血を行うことができた。得られた採血サンプルは血清分離し、血清を凍結保存した。検診では、対象者の身長、体重、翼幅、手首回り、握力を測定し、Dual Energy X-ray Absorptiometry(DXA; Hologic Discovery)にて、腰椎L2-4、大腿骨近位部(Femoral Neck, Ward's Triangle, Trochanter) の骨密度を測定し、膝立位前後像、脊椎前後像のX線撮影を行った後、インピーダンス法(Physion MD)により、四肢筋量を測定した。 来年度はROAD漁村コホートにおいても同様の採血を行う予定であり、すでに地域の賛同を得て検診準備中である。住民の第3回調査における25(OH)D測定は、山村、漁村のサンプルが集まってから一括して行うこととしている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書の通り、来年度はROAD漁村コホートにおいて、山村と同様の検査及び、25(OH)D測定用の採血を行う予定であり、すでに地域の賛同を得て検診準備中である。住民の第3回調査における25(OH)D測定は、山村、漁村のサンプルが集まってから一括して行うこととしている。 山村、漁村の結果をあわせて、ビタミンD不足症の頻度とその特性(性差、年代差、地域差)を明らかにするとともに、iPTH値をあわせ検討して、ビタミンD不足症における二次性副甲状腺機能亢進症の有無とその程度を明らかにする。さらに骨粗鬆症、変形性関節症、筋肉減少症、骨折の有病率を把握し、血清25(OH)D値やビタミンD不足症との関連を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、漁村コホートに運動器障害予防検診を行う。山村と同規模の参加者を見込み、参加者の問診、身体測定、骨密度測定、X線撮影、筋量測定、血液検査を行う。問診票の印刷費、参加依頼や結果の返送などで通信費を見込む。さらに、山村、漁村両地域でのビタミンD測定費用を使用予定である。加えて検診時の血液検査、診察、骨密度測定、X線撮影、筋量測定は申請者らが行うが、受付および問診票調査のアルバイト調査員1人の雇用と検診関連消耗品を予定している。
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Research Products
(10 results)