2012 Fiscal Year Research-status Report
作業療法の手法を使った認知症高齢者ケアー「できる」を生かす実践ツールの開発ー
Project/Area Number |
24659328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
近藤 敏 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (70280203)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症ケア / 家族ケア / 作業療法 |
Research Abstract |
本研究は,認知症高齢者の多少のトラブルを認めながら,能動的に生活できるよう,家族を支援するための具体的な方法を提示することである.認知症高齢者は,仕事的な作業を好む人が多いが,手順が分からず失敗することが多く,周囲とのトラブルが起こることがよく知られている.しかし,作業療法においては,「したい」,「させてほしい」作業を周囲が抑制するのではなく,なんとかできるようにサポートすることが結果的に,個人にとって価値をもった作業の復活になり,個人の居場所や頼りになる存在となって徘徊等の問題行動を軽減できるという視点を有している.このため,作業療法の技術を一般化し,家族が実践できるツールを開発するものである.この目的を達成するため,平成24年度は,既にある「意味をもつ作業を特定する方法」及びタウンゼントによる「作業ができるようにするための10の技能」について,三原市で認知症ケアに携わっている作業療法士に提示し,意見交換を行った.これまでに,文化的に異なるカナダの作業療法士によって考案されたものであり,また最終的には家族に,活用してもらうものであることから,内容を変えることなく,より平易な表現が必要であることが指摘された.タウンゼントの枠組みのなかでは,項目⑩の特殊化(治療技術や特技の使用)については,本来,作業療法士による専門的技術を使用するものであるため,これをいかに家族用にアレンジするか課題が残っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既にあるツールを研究協力者や近辺の作業療法士に提示し検討したものの,リスクのある行動を認めるパラダイム転換的発想ということもあり,活発な討議にならなかったことがツール案の作成まで至らなかった理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
ツール試案を作成を作成し,使用調査をする.認知症家族の会,ケアマネージャーを対象に,ツール試案の使用調査を依頼する.ケアを体験した,あるいは体験中の家族,ケアマネジャーに自己の実践した事例に対して,本ツールで説明できるか検討する.条件としては作業の視点で適応できている事例とする.事例は50名程度を予定しており,家族構成,認知症の程度,介護度,身体状況等についても記述する.事例は以下のような中身を想定している.①~⑩の項目の意味するところを確認しながら,具体的な事例について説明可能かどうか調査する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ツール試案化に集まって頂く作業療法士等の旅費,使用調査のインタビューに協力して頂く対象者(家族及びケアマネージャー等)50名の旅費交通費及び謝礼,また使用調査には三原市内4カ所に対象者に来て頂くことから会場使用料が必要.ツール完成後,一般に公開及び研修のための会場使用料5回と普及啓発のために印刷費が必要である.
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