2013 Fiscal Year Annual Research Report
首尾一貫感覚とは異なる心理的健康増進要因の探索的研究
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24659329
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
湯浅 資之 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30463748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 旦二 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (00190190)
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Keywords | ストレス対処 / コーピング / 首尾一貫感覚 |
Research Abstract |
東洋由来の世界観では主体と客体が未分化で両者の区別が曖昧で、内向的、感覚的傾向が強いという。こうした東洋的人生観に基づくストレス対処心理特性として(1)脱執着感(ストレスの思いにとらわれない)、(2)脱同一化感(ストレスを能動的に客観視)、(3)包容感(ストレスを物事の道理として受入れる)(4)被包容感(第三者に受入れられていると思える)からなる受容的感覚(SOA)を同定した。 地方自治体職員や津波被害者へのインタヴュー結果を基にファセット法により質問化したところ、脱執着感、脱同一化感、被包容感が6問、包容感8問の計26問の質問票が作成された。これを用いて地方自治体職員358名を対象に1回目調査を実施した。因子分析によるプロマックス回転を行ったところ、因子負荷量が0.4以上の質問数は脱執着感6問(クロンバックα係数=0.820)、脱同一化感4問(α=0.726)、包容感4問(α=0.591)、被包容4問(α=0.782)であった。 次に、一般住民と企業職員280名を対象に2回目調査を実施した。因子分析によるプロマックス回転を行ったところ、因子負荷量が0.6以上の質問数は脱執着感3問(α=0.708)、脱同一化感2問(α=0.718)、包容感2問(α=0.650)、被包容3問(α=0.763)の計10問に絞り込まれた。基準関連妥当性としてWCCLコーピングスケールと比較したところ、SOAとWCCLの積極的認知及びソーシャルサポートとの相関係数は0.524(p<0.001)、SOAとWCCLの自責・希望的観測・回避との相関係数は-0.228(p<0.001)であった。また、SOAとSOC(首尾一貫感覚3問)との相関係数は0.586(p<0.001)であった。 以上の結果から、SOA10項目は望ましい情緒中心対処によるストレス対処尺度として有益な指標であると考えられた。
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