2013 Fiscal Year Annual Research Report
不明熱患者から蚊の培養細胞で分離した未知のウイルスの解析と血清疫学
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24659333
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
弓指 孝博 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (10250284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 幾子 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (90332452)
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Keywords | 蚊 / ウイルス / 不明熱 / 中和抗体 / 公衆衛生 |
Research Abstract |
1.ウイルスの形態の観察による分類学的な位置の推定 前年度に引き続き、蚊の培養細胞で増殖させた未知のウイルスの電子顕微鏡による観察を実施した。ウイルスを十分に増殖させた培養液の遠心上清及び超遠心後の濃縮サンプルをネガティブ染色法で、また、感染させた培養細胞を樹脂包埋超薄切片法で観察しウイルス粒子の探索を行った。その結果、細胞の膜小胞中に直径約50nmの多面体様粒子と直径約20nmの楕円形粒子を確認した。多面体様粒子は小型のウイルスであることが示唆され、多数見られた楕円形粒子もサテライトウイルスである可能性が示唆された。 2.ウイルス遺伝子の構造の解明 前年度までに明らかになった未知のウイルスの遺伝子と考えられる約2700塩基の配列を元に、さらにゲノムウォーキング及び次世代シークエンスによって未知の配列の解明を進めた。その結果、5263塩基の配列が明らかになり、既知の核酸配列との相同性の探索を行った結果、BLASTのデータベース上に該当するものはなかった。なお、推定されるアミノ酸配列を元に、より近縁なウイルス種の探索を行った結果、テトラウイルスなどの昆虫ウイルスの非構造タンパクあるいはRNA依存性RNAポリメラーゼ遺伝子と低い相同性(35%)を示した。以上の結果から、今回明らかになった核酸配列はかなり新規性の高いものであると考えられた。 3.乳呑みマウスへの脳内接種等による病原性の確認 ウイルスを十分に増殖させた培養液の遠心上清を用いて乳呑みマウスへの脳内接種を試み、接種後の症状等の観察を行ったが、顕著な変化は見られず、死亡する個体は見られなかった。 4.ウイルスに対する中和抗体測定系の構築及び一般健常人の抗体保有状況の調査 PAP法による中和抗体測定系を構築するための前段階として蛍光抗体法、プラーク中和法を実施し、患者の血清が反応することを確認した。
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Research Products
(1 results)