2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659340
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大澤 資樹 東海大学, 医学部, 教授 (90213686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 文子 東海大学, 医学部, 准教授 (70328128)
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Keywords | 循環器 / 石灰化 / 動脈 / ゲノム / 病理学 |
Research Abstract |
動脈の石灰化は、大動脈解離や虚血性心疾患の原因となり、法医学領域で遭遇する機会の多い内因性急死の重要な基礎病変である。血管への異所性石灰化は、従来アテローム性動脈硬化の進行型と捉えられてきたが、全身的な炎症に伴うアパタイト溶解能の低下から、脈管へ沈着することが主な原因であることが解明されてきた。すなわち、動脈硬化とは異なる病態であることから、石灰化に焦点を当てた組織学的評価法を確立することを本研究の目的とした。当領域で施行した過去の剖検161例の大動脈を検体とし、脱灰処理から包埋された組織につき、切片をH&E染色、コッサ染色等の特殊染色、抗MMP抗体等を用いた免疫組織化学検討を行い、石灰化の形態と程度を顕微鏡下に観察評価した。石灰化形成は、中膜を中心に81%(130/161)で観察され、びまん性に微細なものが106例、塊状に拡大したものが24例あった。動脈硬化性変化である粥腫形成を126例に認め、粥腫を欠いても24例で石灰化を認め、人工透析患者を中心に核を伴う骨化や骨髄形成を8例に認めた。動脈硬化性変化の評価法として米国心臓協会AHA分類が知られているが、石灰化の程度はこの分類とは必ずしも一致せず、特に硬化性変化が軽度のものにおいて相違を認めた。組織切片における石灰化部位の検出法には、抗AHSG、抗MGP抗体による免疫組織化学は、全例で陽性であったのに対し、抗MMP抗体の陽性率は40%にとどまり、コッサ染色を中心に検出し、必要ならば免疫組織化学を追加してゆくのが適当であった。これらのことより、動脈石灰化に関して、アテローム性硬化とは別の評価法が可能と考えられ、我々は5段階評価法を考案した。最終的な成果を論文としてまとめている途中で、近日中に投稿予定である。
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