2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しいペプチドーム解析法を用いた飲酒による血圧変動起因物質の探索
Project/Area Number |
24659341
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽竹 勝彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40164842)
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40333950)
武田 裕司 山形大学, 医学部, 助教 (90302299)
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Keywords | アルコール / 循環動態 / 血圧 / ペプチドーム解析 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
平成24年度に行った飲酒負荷実験の結果を基に、飲酒後数時間の急性期に観察される血圧変動と関連する血中ペプチドについて検討した。被験者に白ワイン(体重kgあたり3 ml)を10分以内に負荷すると、その45分後と2~3時間後にはいずれも全体として負荷前に比べて有意な血圧の低下を認めた。そこで、負荷前を含めた3つの時点で静脈採血を行い、血清を分離して、-80℃で保存した。 被験者より採取した各血清検体をSDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、BLOTCHIPに電気転写し、MALDI型質量分析計により質量分析を行った。そして得られた積算スペクトルを用いて経時的な3群の中で各2群間のディファレンシャルプロファイリング解析を行った。その結果、2群間で有意差を認めたピークが計33個見つかった。これらのペプチドにつき経時的変化パターンの解析を行い、最終的に18個のペプチドがアルコール負荷に連動して変化していることが示唆された。質量分析計による構造解析時の測定範囲が、m/z 3000程度までであることから、このうち13個のペプチドが同定候補になった。さらにこの中の7種のペプチドについては、BLOTCHIP上で精密質量が測定可能であったため、高速液体クロマトグラフィーによる分取精製を行ったところ、4種のペプチド(m/z 1467、1616、2380、2662)が得られた。この中から経時変化の小さいm/z 1618を除いた3種(m/z 1467、2380、2662)について、MS/MS構造解析を実施したところ、m/z 1467と2662はいずれもフィブリノゲンA由来断片ペプチドであると同定された。さらに、m/z 2380は補体C4A由来断片ペプチドであることが判明した。これらのペプチドは飲酒負荷による血圧変動と連動して変化しており、さらに断片の生成には血中のプロテアーゼが関与することから、今後、飲酒、血圧、ペプチド、プロテアーゼの関係をさらに探求する予定である。
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