2012 Fiscal Year Research-status Report
抗ダビガトランモノクローナル抗体を活用したダビガトラン血中濃度測定法の確立
Project/Area Number |
24659355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
大磯 茂 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (40513106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仮屋薗 博子 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (20437958)
森永 紀 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (60465771)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗体作製 / ダビガトラン |
Research Abstract |
ダビガトランエテキシラート(DE)は、生体内で活性代謝物ダビガトラン(DT)へ変換され、直接的にトロンビンを阻害することにより抗凝固作用を示す。DEはこれまで汎用されてきたワルファリンカリウムに代わる新規の抗凝固薬として期待されているものの、重篤な出血性副作用がみられることがあることから使用における注意が喚起されている。DEによる出血性副作用には、腎機能低下時のDTの血中濃度上昇が関係すると考えられており、DTの血中濃度モニタリングが副作用防止に有効ではないかと思われることから、我々はDTの血中濃度測定への応用を目指して、抗DTモノクローナル抗体(DTmAb)の作製を試みた。DT-スカシ貝ヘモシアニン複合体を作製し、Balb/cマウス腹腔内に2週毎に免疫することにより、DTmAbの作製を試みた。免疫開始12週後に十分な血清抗体価上昇がみられたので、マウスから脾臓を摘出し、脾臓細胞とミエローマとの細胞融合を行った。HAT培地を用いたスクリーニングとクローニングを行った結果、2種類のDTmAb産生ハイブリドーマが得られ、その培地からDTmAb-6BおよびDTmAb-6Dを精製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では初年度に、抗体作製までを完了させる予定であったが、当初の予定通り非常に特異性の高い抗体を作製することができたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、MALDI TOFMSの測定を外注で行うように考えていたが、本研究採択後に追加した分担研究者の下で測定が可能であったため、外注の必要がなくなったこと、初年度に必要物品として購入したマルチプレートリーダーや96穴プレート、試薬などが想定よりも安価な金額で購入できたことなどにより、約60000円の未使用研究費が生じた。この研究費は以下に記す次年度以降の研究遂行のために使用したいと考えている。 次年度は、作製したDTmAb-6BおよびDTmAb-6Dを用いてELISAを行い、ダビガトランまたはキャリア蛋白との反応性やダビガトランエテキシラートやオメプラゾール、ランソプラゾール、テルミサルタン、カンデサルタンなどダビガトランと類似の化学構造を有する薬物に対する交差反応性を調べることにより、その特異性について検討する。また、ダビガトランとの競合的ELISAによによるダビガトランの測定可能濃度域の検討やIntra assay、Inter assayによるELISAの測定誤差範囲について調べたいと考えている。 ダビガトランモノクローナル抗体を用いたELISAの信頼性を確認するため、研究開始当初は、HPLCによる測定との比較を行う予定であったが、ダビガトランの医薬品情報等の内容からUV検出を利用した一般的なHPLCでは、ヒトにおけるダビガトランの血中濃度に対する感度が足りないと思われるため、もっと感度が高いと思われるLC-MS等との測定値の比較に計画を変更して検討を行いたいと考えている。 ダビガトランの血中濃度測定に応用するために血清成分のELISAに対する影響を調べるために、ヒトの血清に溶解したダビガトランを用いて、血中濃度測定に最適な条件について検討したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ELISAに使用する96穴プレートに20000円、交差反応性の検討に使用する薬物の購入に40000円を使用する予定である。 ダビガトランのELISAとLC-MSによる測定の比較検討のために、標準薬物として使用するダビガトランに50000円、LC-MSに使用するカラムに70000円、LC-MSの移動相溶媒の購入に50000円を使用する予定である。 ダビガトランのELISAへの血清成分の影響を調べるために、ヒト血清に30000円を使用する予定である。
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