2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ATPセンサーを用いた癌幹細胞の動態解析法の開発
Project/Area Number |
24659369
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤澤 浩一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00448284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 崇二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00332809)
高見 太郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60511251)
山本 直樹 山口大学, 大学教育機構, 講師 (90448283)
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Keywords | アデニル酸カイネース |
Research Abstract |
細胞内エネルギー物質であるATPのダイナミクス解析とエネルギー代謝に関わる分子の解析を検討した。エネルギー代謝に関わる遺伝子発現の調節の解析ではアデニル酸カイネースアイソザイムの発現を解析した。アデニル酸カイネースはATP,AMP,ADPのゼブラフィッシュではヒトの抗体がうまくクロスリアクトしなかったため、ウサギでペプチド抗体を作製した。得られた抗体はウエスタンブロッティングで解析し使用可能なものであることが確認できた。生後1年のゼブラフィッシュにジエチルニトロサミン(DEN)を投与し、数か月飼育し作製した肝癌での発現を検討したところ、癌部での発現低下が認められた。また肝実質細胞と各種癌細胞でのアデニル酸カイネースアイソザイムの発現を調べたところ、アイソザイムによって癌細胞で増加するものや低下するものがあることがわかった。さらに癌細胞セルラインでの発現解析を行ったところ、アデニル酸カイネースアイソザイムのなかにはミトコンドリアマトリックスに局在しており、低酸素やDFOによって発現が増加するものが存在することがわかった。低酸素、DFO、CoCl2、四塩化炭素、CDDPやドキソルビシンなどの抗癌薬によってアイソザイムの発現が増加することから、アイソザイムは酸化ストレスを抑える働きがあること、癌の抗癌剤に対する耐性、転移などの悪性化などに関わっていることが示唆された。またフラックスアナライザーを用いた評価でアデニル酸キナーゼのノックダウンで酸素消費速度が変化することがわかり、メタボローム解析ではフマル酸などのTCAサイクルに含まれるメタボライトの変化が認められ、代謝におけるアデニル酸カイネースの重要性が示された。
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