2012 Fiscal Year Annual Research Report
致死性不整脈疾患におけるヒトiPS細胞を用いた新規原因遺伝子探索
Project/Area Number |
24659387
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 剛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80359786)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 分子心臓病態度学 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトiPS細胞を用いた遺伝性不整脈疾患の病態解明を目指した研究を行った。 ・ヒトiPS細胞由来分化心筋細胞に関する長期培養による成熟化の検討 ヒトiPS細胞由来分化心筋は、成人心筋に比べ未熟であることが研究応用への妨げとなっており、1年までの長期接着培養における組織学的、遺伝子発現の成熟化を検討した。電子顕微鏡を用いた解析では、経時的にサルコメアの緻密化、A, H, I帯の形成を認めたが、成熟心筋にみられるM帯に関しては、1年にてようやく一部の心筋に認めるのみであった。本研究では、初めてM帯を形成したiPS細胞由来分化心筋を認めたが、成熟化は緩徐で、不完全であり、より効率的な成熟化法の開発が必要であると考えられた。(Kamakura T et al. Circ J 2013) ・疾患特異的ヒトiPS細胞を用いた疾患発症メカニズムの解明 カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)は、運動や情動などのカテコラミン刺激によって、心室頻拍・細動による突然死を引き起こす遺伝性不整脈疾患である。我々は、リアノジン受容体遺伝子異常が同定されているCPVT患者より、iPS細胞を作製し分化心筋の解析を行った。電気的ペーシング下にCa transient測定を行ったところ、CPVT患者由来分化心筋では、カテコラミン負荷後に拡張期細胞内Ca増加を生じる細胞が有意に多く、CPVTの病態を細胞レベルで一部再現できた。今後、薬効評価などの疾患モデルとしての有用性が期待される。(Sasaki K et al. 第77回日本循環器学会学術集会) ・新規疾患原因遺伝子の探索 候補遺伝子解析にて原因遺伝子不明の家族性洞不全症候群の家系(有症候6例)において、3例よりiPS細胞を作成し、分化心筋の生理学的解析、deep sequencingをすすめている。
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Research Products
(12 results)