2012 Fiscal Year Research-status Report
新規探索法による新しい循環調節ペプチドの同定と機能解析
Project/Area Number |
24659394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
永田 さやか 宮崎大学, 医学部, 助教 (00452920)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 新規生理活性ペプチド / オーファン受容体 / キメラ遺伝子 / 安定発現株 / FACS解析 / FRET解析 |
Research Abstract |
複雑かつ精巧な循環調節機構をより明確にするためには、未知の生理活性物質を同定することが重要であり、我々は強力な降圧ペプチド(アドレノメデュリンAM:北村ら, BBRC 1993;AM関連ペプチド2種:桑迫ら, BBRC 1995; FEBS Lett 1997)と昇圧ペプチド(proangiotensin-12:永田ら, BBRC 2006)を発見してきた。しかも、循環系のGタンパク質共役型受容体(GPCR)の 構造解析と機能解析で多くの実績がある(桑迫ら, J Biol Chem 2000, 2001, 2003, 2006; 他多数)。本研究の目的は、これまでに成功例のない探索法を用いて、循環系に高発現しているヒトのオーファンGPCR(リガンドが同定されていないGPCRの総称)の未知の生理活性ペプチドを網羅的に同定することである。 平成24年度は、残存するオーファンGPCRのうち、既知の循環ペプチド系GPCRの構造に限りなく類似し、RT-PCRで循環系の臓器に高発現していることを確認できたものの獲得を勧めた(ほとんどPCRでクローニングし、一部を購入した)。さらに、これらを当該研究のアッセイに適したタグ付きキメラ遺伝子(標的オーファン受容体のヘリックス8の直前でカルシトニン受容体様受容体(CLR)の配列に組換えた遺伝子)に改築し直した。これらの複数のタグ付き遺伝子の安定発現系を独自の手法(kuwasako et al. J Biol Chem 2000)で樹立した(FACS解析で確認)。 上記と並行して、循環系の内因性ペプチドが豊富に存在し、それらの精製が容易なヒトの褐色細胞腫(手術時に入手)もしくはブタ(ブタの臓器の構造と各遺伝子の配列はヒトに極めて類似しており、入手も容易)の副腎を大量に抽出した。抽出は当教室で確立した方法を用い、必要に応じて修飾した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的のオーファンGPCR(G蛋白共役型受容体)のクローニングが完了していない。それに伴い、さらなる遺伝子の構築やこれらの安定発現株の樹立が当初の予定より遅れている。 今回、我々が独自に考案した方法論(オーファンGPCRの細胞内C末端近位部のヘリックス8(右巻き螺旋構造)の直前でカルシトニン受容体様受容体(CLR)のものと普遍的に組換えるという画期的なアイデアに基づいたストラレジー)の再現性の高さを既知のGPCR同士の組換え体(キメラ)で確認しているため、その確認作業にかなりの時間を要していることが、本研究の遅れの最大の要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、ヒトのオーファンGPCR(G蛋白共役型受容体)の内因性リガンドの探索を推進する。 平成24年度で予定通り進まなかった実験(オーファンGPCR(G蛋白共役型受容体)のクローニングが完了及びこれらの安定発現株の樹立)を精力的に進める。我々が独自に考案した方法論(上述)の再現性の高さを確認する作業も進める。 今年度以降、副腎以外の循環系の臓器(心房、心室、肺、腎臓)も大量に抽出し、前年度と同じ方法で精製を進める。 単独で細胞膜に発現できる非オーファンGPCRに修飾蛋白が作用するとリガンドの特異性が変化する(典型例:カルシトニン受容体がアミリン受容体に変化)。従って、単独で細胞膜発現するORと複合体を形成する修飾蛋白も特定し、前年度の手順でリガンドの同定を目指す。 最終精製物質を獲得し次第、当教室のプロテインシークエンサーとマススペクトロメトリー(MS)を用いて、それらの構造を決定する。未知のペプチド場合、体内分布と生理作用(血圧や動脈硬化、酸化ストレス、心血管リモデリング、虚血時の血管新生などに及ぼす効果など)を明らかにする。既知の場合、GPCRの細胞内情報伝達や構造・活性相関を詳細に調べ、臨床応用を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)ヒトのオーファンGPCRの遺伝子構築:ヒトのオーファンGPCRのタグ付き組換え遺伝子を数多く作製しなければならない。そのため、PCR用のプライマー合成(本学で出来ないためメーカーに依頼)のみならず、PCRとDNAシークエンス用のサンプル調整にかなりの費用を要す。 (2)遺伝子導入:これらの組換え遺伝子を培養細胞に導入するための2つの試薬も高価である。しかも、その機会がかなり頻繁であるため、遺伝子導入実験だけでも多くの費用が必要である。 (3)FACS解析:V5タグとHAタグを特異的に認識する市販のモノクローナル抗体を要す。 (4)FRET解析:実験頻度が高いため、相当の維持費になる。 (5)細胞培養実験:遺伝子導入や安定発現株の樹立、アッセイのための培養細胞の維持管理に相応の費用を要す。
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