2012 Fiscal Year Research-status Report
in vivo分子イメージングによる肺アミロイドーシス新規診断法の確立
Project/Area Number |
24659397
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海老原 覚 東北大学, 大学病院, 講師 (90323013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 幸司 東北大学, 大学病院, 教授 (80375203)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アミロイド / コンゴレッド染色 / 肺アミロイドーシス / Aβ1-42 / ブレオマイシン |
Research Abstract |
前臨床段階として実際に肺にアミロイドが沈着したとき、アミロイドプローブによって生体のままそれを可視化できるのかの検証が必要である。そこでマウスにおいて肺にアミロイドが沈着している動物モデルの作成を試みた。8週齢C57BL6の雄マウス(体重約28~30g)をコントロール群(4匹)、ブレオマイシン群(3匹)、Aβ1-42群(5匹)、Aβ1-42+ブレオマイシン群(6匹)に分け、経気道的にアミロイドを投与した。アミロイドは①Aβ1-42(ペプチド研究所)の瓶を遠心にかけて薬品を瓶底にまとめる。②遠心機から取り出し、瓶の横などに薬品がついていないことを確認する。③Aβ1-42を最小単位で購入した場合、リン酸カリウム緩衝液を投与する。④遠心をかけて改めて瓶の底に薬剤溶液をまとめる。⑤超音波で瓶底に集まった薬剤を粉砕する(約10秒)。⑥シェイカーで撹拌し、アミロイド溶液使用時に超音波で瓶底に集まった薬剤を再度粉砕する。以上①から⑥の過程で調整した。肺を摘出し、ホルマリン溶液に入れ、24時間後採取サンプルをパラフィン固定し、HE染色及びコンゴ―レッド染色し、アミロイドの肺への沈着を観察した。途中での脱落は、Aβ1-42群1匹、Aβ1-42+ブレオマイシン群2匹であった。コンゴ―レッド染色での結果は、Aβ1-42群では1匹において沈着を認めたが、Aβ1-42+ブレオマイシン群では4匹の全てのマウスで認めた。以上の結果よりブレオマイシンにて肺に炎症を起こしたところにアミロイドを投与した方が、アミロイドが効率的に肺に沈着することが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はマウス肺にアミロイドを沈着させることができることを確認した。さらにそのような処置の後でもマウスは生存していることを確認した。今回施した処置は①ブレオマイシン群及びブレオマイシン+Aβ1-42群は、マウスを腹腔内麻酔処理後、気管を露出させる。②留置針を挿入して、ブレオマイシン溶液を留置針から肺へ投与する。③ブレオマイシン投与後、アミロイド溶液をAβ1-42群とブレオマイシン+Aβ1-42群のマウスに対して腹腔内麻酔処理後、気管を露出させ留置針を挿入して、アミロイド溶液を留置針から肺へ投与する。③アミロイド溶液投与後5日後、腹腔内麻酔後気管を露出させサーフロー留置針挿入後、マウスが吸気時にホルマリン溶液を投与する。④ホルマリン溶液が肺の末梢に浸潤したら、留置針挿入付近を結紮糸で気管を軽く縛っておき、留置針を抜くとすぐに結紮糸を強く縛る。⑤結紮後気管上部から肺を摘出し、ホルマリン溶液に入れ、その後ホルマリン溶液を回す。⑥採取サンプルをパラフィン固定し、HE染色及びコンゴ―レッド染色し、アミロイドの肺への沈着を観察する、というような過程を経ている。その過程がアミロイド沈着に有効な手法であることを見出したことより、今後のこの研究が大きく進むことが予想されるブレークスルーであったと思われる。 また、工藤研との共同研究体制が確認されたことの意味も大きい。アミロイドの溶解法の状況とかがすぐさま教示され実験施行に無駄がないことが改めて分かった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は他のアミロイドによるマウス肺の沈着を調べ、マウス肺アミロイドーシスモデルの最適化を行う。アミロイドAAなどの作成にも努力する。また、ブレオマイシン以外にLPS投与などによりアミロイドが肺に沈着しやすくなるかなどの検討も行う。そうしたのちに最適化された肺アミロイドーシスモデルマウスにおいて、まず肺組織標本を作りプレパラート上でBF-227がそこのアミロイドに結合するかを確かめる。BF-227をマウス尾静脈から静注し、生きているままPETを撮影し、アミロイドイメージングが可能か確かめる。 臨床試験も並行して行う。対象患者のリクルートする対象患者は肺生検(開胸または胸腔鏡下肺生検)を予定している患者に限る。対象患者に一般内科的検査を施行し、肺感染症・悪性腫瘍などを鑑別し、除外する。また基礎疾患・合併症の有無を検索。そしてアミロイドPETを実施する。対象患者に[11C]BF-227を用いてPET検査を実施。90分間(計29フレーム)のダイナミック撮像を行い、BF-227が肺に取り込まれることを確認する。同一被験者にFDG-PETを併せて実施して病変の活動性を評価し、2で得られたアミロイド病変との相関の有無を検討する。肺にBF-227が取り込まれなかった場合は、アミロイドーシスでない可能性が高いので、原疾患を検索する。上記で得られた画像とX線・CT画像を比較・検討し、[11C]BF-227を用いたPET検査の有用性を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は昨年度の研究において、外部委託する予定であったマウス肺アミロイドーシスモデルの肺の病理組織標本の作製を、工夫と時間をかけることにより自分たちで行ったことにより大幅に自助努力により発生した未使用額である。、しかしながら、その後研究を進展させていくうちに、特殊染色が研究進行上必要であり。その操作の煩雑さからそれを外部委託して行うことが必要である。したがって、次年度使用額(B-A)を平成25年度請求額と合わせて、平成25年度の研究遂行に使用することが研究目的達成に不可欠でありその予定である。 また今までアミロイド蛋白は生化学的に20種類以上同定されており、アミロイドーシスは病変の局在とアミロイド蛋白の種類により分類されている。このうち肺病変と関係のあるのはALアミロイドーシス、反応性AAアミロイドーシス、限局性結節性AAアミロイドーシスである。そこで次年度は今後はALアミロイドーシス、反応性AAアミロイドーシス、限局性結節性AAアミロイドーシスによるマウス肺の沈着を試みる。 さらに当科に保存してある4人の肺アミロイドーシスの肺組織(VATS2例と剖検2例、すべて研究に処する旨の承諾書あり)のアミロイド蛋白が上記のどのアミロイド蛋白であるか、それぞれのアミロイド蛋白に特異的な抗体を用い免疫染色し。また、全国的に肺アミロイドーシスの組織を集め、それぞれどのアミロイド蛋白が沈着しているのかを調べる。そしてそれぞれの組織の標本に[11C]BF-227を結合させどのように顕微鏡上見えるか検討する。 そのための抗体などの購入費用にもあてていく予定である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Journal Article] Adiponectin pathway attenuates malignant mesothelioma cell growth.2012
Author(s)
Niu K, Asada M, Okazaki T, Yamanda S, Ebihara T, Guo H, Zhang D, Nagatomi R, Arai H, Kohzuki M, Ebihara S.
-
Journal Title
Am J Respir Cell Mol Biol.
Volume: 46
Pages: 515-523
DOI
Peer Reviewed