2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト気道上皮細胞を用いたインフルエンザウイルス感染重症化判別法の開発
Project/Area Number |
24659398
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山谷 睦雄 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60261640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 秀一 独立行政法人国立病院機構(仙台医療センター臨床研究部), 病因研究室, 病因研究室長 (50172698)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | インフルエンザ / 気道上皮細胞 / 病原性 |
Research Abstract |
平成24年度の検討課題である、「分離インフルエンザウイルス種間のヒト気道細胞傷害性の相違の比較」を実施した。 方法:ヒト気管上皮細胞をプレートの容器に培養し、増殖した時点でヒトの咽頭から検出される濃度のインフルエンザウイルスを感染させた。用いたウイルスは、1)2009年に流行した新型インフルエンザ、2)および3)2008年~2009年に流行したAソ連型季節性インフルエンザ2種類、4)A香港型季節性インフルエンザ、の4種類である。ウイルス感染後に浮遊している細胞数、および固着している細胞数、培養液ウイルス量・細胞内ウイルスRNA量、培養液乳酸脱水素酵素およびインターロイキン-6を測定した。 結果:培養液に浮遊する細胞数はインフルエンザウイルス種で違いを認めた。A香港型が最も少なく、Aソ連型、新型インフルエンザの順であった。Aソ連型の1種類は新型インフルエンザと同等であった。すなわち、新型インフルエンザ≧Aソ連型>A香港型であった。培養液ウイルス量は浮遊細胞数に相関した。すなわち、ウイルス量も新型インフルエンザ≧Aソ連型>A香港型の順番であった。感染3日後で細胞の脱落が少ない時期に測定したウイルスRNA量は新型インフルエンザ≧Aソ連型>A香港型の順番であった。また、新型インフルエンザおよびAソ連型の1種類は感染10日目において固着細胞数の減少を認めた。培養液乳酸脱水素酵素は浮遊細胞数の多い新型インフルエンザおよびAソ連型の1種類で増加を認めた。培養液インターロイキン-6量は新型インフルエンザ≧Aソ連型>A香港型の順番であった。 結論:インフルエンザウイルスの細胞傷害性はウイルス種で異なった。ウイルス増殖能が高いほど細胞傷害性および炎症惹起能が高い結果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究が実施されている。すなわち、研究計画の通り、平成24年度において、数種類のインフルエンザウイルスをヒト気管上皮細胞に感染させ、上皮細胞に対する傷害性(脱落細胞数)、炎症惹起物質であるインターロイキン-6の放出量と培養液ウイルス量・細胞内ウイルスRNA量を比較した。また、2009年新型インフルエンザが季節性インフルエンザに比較して病原性が特段に高くないというこれまでの評価に合致していた。培養液ウイルス量、脱落細胞数、乳酸脱水素酵素およびインターロイキン-6の測定は容易であり、流行株インフルエンザの肺内における病原性を迅速に評価する指標となることが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の検討項目として当初から計画していた研究を実施する。すなわち、気管支炎および肺炎に及ぼす影響を検討するため、中枢気道および肺胞の温度環境に相当する33度、37度、40度で培養して温度によるインフルエンザウイルスの増殖能、細胞傷害性を検討する。ウイルス感染後のウイルス増殖、炎症性物質(インターロイキン-6など)の培養液放出量を測定する。また、剥離した細胞数および培養プレートに固着している細胞数、乳酸脱水素酵素を測定し、細胞傷害性を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(4 results)