2012 Fiscal Year Research-status Report
上皮成長因子受容体遺伝子変異による発癌マウス肺からの幹細胞の同定
Project/Area Number |
24659404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 晃子(久本晃子) 岡山大学, 大学病院, 助教 (30623532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木浦 勝行 岡山大学, 大学病院, 教授 (10243502)
伊藤 隆明 熊本大学, 大学院医学歯学研究部, 教授 (70168392)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺がん幹細胞 |
Research Abstract |
申請者らはII型肺胞上皮に特異的に遺伝子発現させることが可能なSP-Cプロモーターを利用し,EGFR遺伝子変異(マウスEgfr Exon 19 del E748-A752, ヒトEGFR Exon 19 del E746-A750に相当, ヒトEGFR Exon 21 L858R)を導入した遺伝子改変マウスを樹立・報告している(Cancer Sci 2008,Cancer Res 2009)。この遺伝子改変マウスは肺に自然発癌する腫瘍を形成し,癌死する。腺腫様過形成⇒腺癌の経過を観察でき,EGFR遺伝子変異に起因する発癌モデルとして有用と考えられる。本研究では,このEGFR遺伝子改変マウスから細胞株を樹立し,がん幹細胞を樹立・同定・機能解析することを目指した。今回はEGFR Exon 19 del導入マウスモデルlと EGFR Exon 21 L858R導入マウスモデルを用いる。熊本大学伊藤隆明教授(連携研究者)との共同研究で遺伝子改変マウスの胎仔肺を摘出し器官培養を開始した。実験に使用するマウスは,EGFR遺伝子変異導入マウスのオスと野生型C57BL/6マウスのメスを交配させ,妊娠確認後,胎齢14日時点で妊娠マウスを腹腔内麻酔ののち頸椎脱臼にて安楽死させ,帝王切開により胎仔を摘出した。胎仔肺のみを摘出して6穴のディッシュに培地を1.5ml入れその上にフィルターカップを置いて器官培養を開始し,以後胎仔肺の観察を行った。胎仔のgenotypeについては胎仔頭部の組織を用いてDNA抽出を行い,EGFR遺伝子変異を有する個体かどうかをPCRにて確認した。胎仔肺に肺癌組織が認められた場合には,組織切片を作成し、SP-Cなど免疫組織染色を施行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
トランスジェニックマウスの作成に時間を要した。また遺伝子変異を要する胎仔肺自体が少なく、検体の収集に苦慮したため時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFR遺伝子改変マウス肺のSphere colony assayを開始し細胞株の樹立を行う。その細胞株を自動磁気細胞分離装置にて,CD45およびCD31のdepletionを行った後,FACSAriaセルソーターを用いて,Sca-1とCD34のマーカーを用いて分離する。すなわち,Sca-1+ CD34+,Sca-1+ CD34-,Sca-1- CD34+,Sca-1- CD34-の細胞を得たのち,それぞれcloningしその表面マーカーが保持されていることを確認する。それら4つの細胞群のうち,幹細胞の性質(自己複製能,多分化能,腫瘍形成能,薬剤抵抗性)を有するものを同定する。単離した細胞群をそれぞれNOD/SCIDマウスの皮下に移植して腫瘍増殖能を確認する。薬剤抵抗性については,ATP-binding cassette(ABC)トランスポーターABCG2高発現の報告があり,本研究でもmulti-drug-resistant protein (MRP),breast cancer resistant protein(BCRP)1などともに検討を予定している。CD133陽性細胞が高い腫瘍形成能を持つことが示されていることから,本研究でもCD133陽性細胞分画の分離を行う予定である。CD133陽性細胞は血清を加えた分化培地で培養すると,特異的な分化マーカーを発現するとともに,CD133の発現や造腫瘍能が消失することが報告されている(多分化能の証明)。CD133陽性細胞分画を分離ののち,培養を開始する。フローサイトメトリーを用いて肺癌細胞株におけるSP細胞分画の同定を行う。SP細胞にも強い腫瘍形成能が存在することが知られており,SP細胞同定ののちNOD/SCIDマウスの皮下に移植して腫瘍増殖能を確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の遅れもあり24年度に残額が生じた状況である。24年度残額と25年度金額を合わせた使用計画としては、上記の今後の研究の推進方策に記載した通り、必要試薬や研究器具の購入や動物実験費に用いる予定である。また、国内および国際学会での研究成果発表および勉強のための参加費用にも使用予定である。
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