2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659405
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
横山 彰仁 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (30191513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (30274377)
大西 広志 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (90553876)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | COPD / 全身性炎症 / 閉塞性肺疾患 / TNF |
Research Abstract |
腹部手術時に腹部内臓脂肪および皮下脂肪を採取した。30例程度について腹部と皮下の差異を検討したところ、明らかに腹部脂肪の方が炎症細胞数が多く、皮下脂肪を採取するのは簡単ではあるが、腹部脂肪炎症の代替えにはならないことを明らかにした。 また腹部脂肪は現時点で160例で取得し、脂肪組織内のCD68陽性細胞数を検討した。癌患者の場合は術前のCRPが正常であっても進展型であると早期例に比較してCD68陽性細胞は多くなっており、検討から外す必要があると判断した。予備的に厳選した82例で検討すると、閉塞性換気障害のある30例では必ずしもCD68が多くなく、脂肪細胞のサイズも差がなかった。しかし、%FEV1はTNFや他のアディポサイトカインと有意な逆相関を示した。即ち、COPD重症度とこれらのサイトカインは相関する可能性がある。一方で%VCはCD68陽性細胞数と有意な負の相関を認め、BMIや腹囲とも独立した因子となっていた。このことは%VCが低い例では腹部炎症があることを示唆する。我々は以前に%VCと糖尿病発症の関連を報告しているが、%VCの低下は腹部炎症を介して糖尿病発症に関係している可能性が示唆された。 これまでに、低体重出生児は後年心血管疾患に罹患しやすいという疫学データから、胎生期ないし出生早期に動脈硬化性疾患への感受性がプログラミングされるという“Barker の仮説“が知られている。このような児では、正常範囲であっても成人期に肺容量低下が生じるとの報告がある。我々のこれまでの検討で、呼吸機能低下は正常範囲であっても、インスリン抵抗性さらには糖尿病を生じることが明らかになっている。本研究は、腹部脂肪と肺容量の関係から、細胞学的なBarker 仮説の解明に寄与するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪採取は順調に進んでおり、研究も特に問題なく進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、脂肪採取をさらに進め、200例を目途とする。約30%に認められる閉塞性換気障害例における種々のアディポサイトカインの意義を例数を増やして検討し、COPDの全身性炎症における腹部炎症の意義を明らかにする。予備的検討で明らかになっている、脂肪サイズ、浸潤炎症細胞数、浸潤程度あるいは血清あるいは培養上清中の液性因子と、喫煙、肺機能との関係を確定したい。また、%VCとCD68陽性細胞の関係をつなぐ分子メカニズムについても、脂肪組織を用いた網羅的なプロテオーム解析(基盤研にて施行)とそれによる候補分子の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
血清および培養上清における種々のアディポサイトカインの測定試薬の購入と脂肪組織のプロテオーム解析とそれに基づく候補分子の解析用試薬の購入に充てたい。
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Research Products
(3 results)