2012 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎症と食塩感受性高血圧の共通基盤におけるエピジェネティク制御機構
Project/Area Number |
24659410
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 敏郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10114125)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | DNAメチル化 / 糖尿病 / 高血圧 |
Research Abstract |
本研究ではエピゲノム制御の異常同定と、それに基づく遺伝子発現の異常を同定し、生活習慣病および生活習慣病に起因する臓器障害の早期診断から治療までの包括的治療のための新たな技術基盤の確立を目指している。本年度は、糖尿病腎症モデルマウスとしてdb/dbを用い、腎症初期に発現変化する遺伝子を対象に腎臓全体とともにソーティングによって分取した腎臓構成細胞についてmRNAならびにDNAメチル化の変化をスクリーニングした。その結果、トランスポーターおよび転写因子について、尿細管特異的に脱メチル化している遺伝子を複数明らかにすることができた。さらに、糖尿病によってmRNA発現が変化する高血圧発症にかかわる塩分関連遺伝子を複数抽出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎臓のエピジェネティック解析には構成細胞ごとの解析が必須である。本年度は、尿細管を分画する手法を確立することができた。腎臓の中でも、臓器間でもみられるように特異的なDNAメチル化プロフィールが存在することは概念的には予想されていてもこれまで報告はされていなかった。本年度の研究でトランスポーターおよび転写因子でDNAメチル化レベルで制御されている可能性のある候補遺伝子を複数抽出できた。また、今年度明らかになった糖尿病によって変化する高血圧発症にかかわる遺伝子は、次年度にエピジェネティック異常を解析する候補遺伝子となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、得られた候補遺伝子についてDNAメチル化異常を明らかにし、さらにその成立機序とヒストンレベルでの解析を進める予定である。また、明らかになるエピジェネティック異常がどの程度回復可能であるか、薬物による治療効果を調べる予定にしている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度予算から、次年度にむけて15,689円を平成25年度分の予算に加え、DNAメチル化解析ならびにヒストン解析のための抗体など消耗品の購入に使用する。
|