2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659418
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
名取 泰博 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (10164485)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 腎尿細管上皮 / 脂質代謝 / アポリポタンパク質M |
Research Abstract |
生体における脂質代謝の主役は肝臓であり、生体内の脂質輸送の中心的役割を担うリポタンパク質の産生は主に肝臓で行われる。加えて小腸及び脳も各々の機能と関連して脂質代謝への関与やリポタンパク質産生能が知られている。しかし全身の脂質代謝における腎臓の関与についてはほとんど注目されていない。一方、種々の腎疾患において腎への脂質の蓄積が観察され、また脂質の腎疾患の進展への関与が示唆されている。そこで本研究では、腎におけるリポタンパク質の産生と、その脂質代謝への影響を調べた。 これまで腎での発現が報告されているが、その機能が不明なアポリポタンパク質M(アポM)について、ラットネフローゼモデルにおける発現を調べたところ、タンパク尿が顕著になる時期に一致してアポMのmRNA発現が低下していることがわかった。我々は既に同モデルにおいて、脂質代謝調節に重要な核内受容体LXRのアゴニストが尿タンパクを減少させ、さらに腎に蓄積している脂質を顕著に減少させることを明らかにしているが、同じ時期にアポM のmRNA発現も増加していることがわかった。 次に腎における脂質代謝調節を詳細に調べるために、腎尿細管上皮細胞の培養系を用いた実験を行った。同細胞の培養系として確立されているNRK52E(ラット)及びHK-2(ヒト)細胞ではアポMのmRNAの発現は非常に低く、またLXRアゴニストの添加でも発現増加は見られなかった。またラット腎尿細管上皮細胞の初代培養系においてもその発現は低かった。そこで次にNRK52E細胞にアポMを強制発現させ、その脂質代謝に対する影響を調べた。その結果、培養中にNRK52E細胞内に蓄積されるオイルレッドO陽性脂質が、アポMの発現により顕著に増加することがわかった。この結果から、アポMは腎における脂質の排出に関与する可能性が示唆された。
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