2012 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞から分化誘導したアストロサイトを用いたアレキサンダー病の病態解明
Project/Area Number |
24659433
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中川 正法 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50198040)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 誠克 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90457987)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 遺伝子 / 脳神経疾患 / 神経科学 / GFAP |
Research Abstract |
アレキサンダー病は臨床的には乳児期発症で大脳白質病変を主体とする重症な型から成人期発症で延髄・頚髄病変を主体とする比較的緩徐な進行を示す型まで多様な臨床病型を示す。これまでの申請者らの成果も含めて細胞実験やマウスモデル実験により、変異GFAPを主体とする異常凝集体がアストロサイトの機能、さらにはニューロン-アストロサイトの相互作用に影響を及ぼすアストロサイト病であることが明らかにされつつあるが、本病の多様な臨床病態を説明しうる研究はなされていない。本研究では近年改良・向上がみられているiPSCの技術を用いて、アレキサンダー病患者の皮膚線維芽細胞からiPSCを樹立し、さらにアストロサイトに分化誘導することにより、臨床病型に応じたアストロサイトとアストロサイト-ニューロン相互作用を解析することを目的とした。また、アストロサイトは中枢神経領域により形態学的、生理学的にも多様性をもつことが明らかにされてきており、iPSCから種々のアストロサイトサブタイプへの分化も試みる。 本年度は申請者らの施設および関連施設に通院しているアレキサンダー病患者から同意を得られた場合に皮膚生検を施行し、線維芽細胞を樹立した。1型から3型まで各病型の患者からiPSCを樹立することを目的としたが、本年度は3型1例にとどまっている。また、研究の推進については当初連携を予定していた独立行政法人医薬基盤研究所「難病研究資源バンク」がiPS細胞関連から撤退せざるを得なくなったこと、単独施設での研究の推進は困難で本年度設定された再生医療実現拠点ネットワークプログラム「iPS細胞研究中核拠点」との連携が望ましいことから試料収集やiPS細胞樹立に対して新たな連携を模索する必要が生じたことから現在までの到達度としては当初計画よりもやや遅れている状況である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は試料の収集が主な目標であったが、当初連携を予定していた独立行政法人医薬基盤研究所「難病研究資源バンク」がiPS細胞関連から撤退せざるを得なくなった。iPS細胞研究に関しては単独施設での研究の推進は困難であり、新たに選定された再生医療実現拠点ネットワークプログラム「iPS細胞研究中核拠点」との連携を模索する必要性が生じたため、現在までの到達度はやや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
再生医療実現拠点ネットワークプログラム「iPS細胞研究中核拠点」との連携を確立して、試料の収集とアレキサンダー病のiPS細胞樹立を図る。試料については申請時には皮膚組織を予定していたが、近年の技術の発展により血液からのiPS細胞樹立が可能となっており、侵襲性の観点からも血液試料の収集に改める予定である。収集後はiPS細胞からアストロサイトへの分化誘導および誘導したアストロサイトの機能解析(アストロサイト細胞質内凝集体の形成時期および凝集過程の検討、アストロサイト-ニューロン相互作用の解析)、薬物スクリーニングを行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
iPS細胞の樹立および分化誘導、機能解析ための物品費および人件費、日進月歩の領域でもあり情報収集のための学会や研究会参加のための旅費に使用する予定である。
|