2012 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノム変化による筋ジストロフィーの発症機構の解明
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24659437
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
林 由起子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第一部, 室長 (50238135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 健夫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝学 / ゲノム / 細胞・組織 / 発現制御 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は、常染色体優性遺伝形式をとる最も頻度の高い遺伝性筋疾患の1つである。近年相次いでその病因が解明されている多くの単一遺伝子病と異なり、原因遺伝子座が同定されて20年以上経過するにもかかわらず、その具体的病因が明らかになっていない希な疾患である。FSHDは第4染色体長腕テロメア(Ch.4q35-ter)に存在する3.3kbのリピート配列(D4Z4)の数が10個以下に減少することが原因となるが、D4Z4の減少がFSHDの発症にどのように関与しているのかは明らかでない。リピート数の減少(テロメアの短縮)によって生じうるゲノム配列の修飾(エピゲノム)変化の有無をゲノムワイドに解析し、疾患との関連を探索する。今年度は我々の保有するFSHD患者組織から抽出したゲノムDNAを用いた超高密度ゲノムマイクロアレイ(エピゲノム変化を来しうる450万CpG配列部位を搭載)を用いて、ゲノムワイドなエピゲノム変化をとらえるべく解析を行っている。 FSHDの特徴として、同一個体においても筋障害の程度に非常に差があることが知られている。我々は同一患者の複数部位の筋ならびに血液から抽出したDNAについてメチル化の変化を検討している。この結果、網羅的に見ると、メチル化の程度は血液と骨格筋では著しく異なることが明らかになった。現在、具体的なメチル化の変化についての解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高密度ゲノムマイクロアレイ(エピゲノム変化を来しうる450万CpG配列部位を搭載)を用いたエピゲノム解析結果に基づき、疾患固有のメチル化異常の変化を捉えるべく、研究を計画通り進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ゲノムワイドなメチル化の変化を家系内発症者、非発症者で検討するとともに、疾患責任ゲノム領域である4q35領域のメチル化にも注目し、D4Z4リピート数の減少と遺伝子多型、さらに直接関連する具体的なメチル化部位の特定を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はバイサルファイト処理したゲノムDNAを用いて、具体的なメチル化部位の同定を行うことことを目的に、これに関連する消耗品を購入する。また、成果発表をおこなうための学会参加旅費、ならびに論文投稿費用を計上する予定である。
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