2015 Fiscal Year Annual Research Report
体液性調節因子の支配を受けない肝臓の自律的血糖調節機構と新規降血糖薬の開発
Project/Area Number |
24659448
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
渡邊 房男 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (40183719)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グルコキナーゼ / グルコキナーゼ調節蛋白質 / 核-細胞質間蛋白資質輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究期間全体を通じて実施した研究成果】 肝臓のグルコキナーゼ(GK)は、低血糖時には核へ高血糖時には細胞質へ移行することで、血糖値を調節している。現在までの報告では、核に存在するグルコキナーゼ調節蛋白質(GKRP)と細胞質に存在するフルクトース6-リン酸2-キナーゼの肝臓型アイソザイム(RL2K) がGKと競合的に結合することでGKの細胞内局在性が決定されているといわれている。本研究の目的は、(1) GK、GKRP及びRL2Kの細胞内局在性とそれらの結合状態をハイスループットに計測できる実験系を確立すること、(2) この実験系を用いてグルコース濃度依存的にこれらの蛋白質間の局在性及び結合性を制御する因子を同定することであった。この目的のために、当初GK、GKRP及びRL2Kと蛍光蛋白質との融合蛋白質をヒト肝臓由来の細胞株であるHepG2に発現させようと試みた。しかし、これらの融合蛋白質は細胞内で非常に不安定であり、測定に必要な量が細胞に蓄積しなかった。そこで融合蛋白質を用いた高効率な実験系の作成を断念し、細胞内での安定性が良い非融合型の蛋白質を発現させ、特異的抗体を用いてこれらの蛋白質の細胞内局在性や結合性を測定する実験計画に方針を転換した。 【最終年度に実施した研究成果】 最終年度には、GKRP及びRL2Kに対する抗体の作成を行った。現在、GK、GKRP及びRL2Kの抗体の精製とAlexa Fluor 488及びAlexa Fluor 555による標識を行っている。この標識抗体を用いると各々の蛋白質の局在性の測定とFRETを用いた蛋白質間の結合状態の定量が同時に可能となる。すでにこれらの抗原を発現する細胞株の作成に成功しているので、今後細胞培養液中のグルコース濃度を変化させて、GKの細胞内局在性、GKRP及びRL2Kに対する結合状態を明らかにする。
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