2013 Fiscal Year Research-status Report
褐色細胞組織に存在する新規生理活性ペプチドの系統的探索
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24659452
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
永田 さやか 宮崎大学, 医学部, 助教 (00452920)
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Keywords | 褐色細胞腫 / 受容体 / 新規生理活性ペプチド / cAMP / アミド化 / 血管作動性物質 / Big angiotensin-25 / ラジオイムノアッセイ |
Research Abstract |
我々は1993年にヒト褐色細胞種組織より、アドレノメデュリンを強力な降圧作用を有する新規生理活性ペプチドとして発見した。その後の研究により、アドレノメデュリン血管拡張作用、利尿作用をもつペプチドであり、血中を循環するホルモンあるいは心血管組織における局所調節因子として、血圧や体液量の調節に関与する極めて重要な循環調節因子であることが明らかになり、最近では探索的臨床研究も実施している。我々はアドレノメデュリンの発見以降も、アドレノメデュリンの研究を推進すると同時に、さらなる新たな生理活性ペプチドの探索を粘り強くすすめている。本研究では次の3テーマで研究を推進した。 (1)副腎髄質由来のTGW細胞のcAMP増加作用を有するペプチドの検索: 副腎髄質由来の培養細胞のcAMP増加を指標にしたアッセイ法を用い、新規生理活性ペプチドの探索をすすめおり、10近くのペプチドを精製し、構造解析を行った。新たな分子型のペプチドの同定には至ったが、全てVIP,CGRPなどのcAMP増加作用を有した生理活性ペプチドのメチオニン酸化物などの修飾物であった。(2)C末端アミド構造を有したペプチドの系統的検索:褐色細胞腫には、高濃度のアミド化酵素が含まれていることから、C末のアミド化された未知の生理活性ペプチドが存在すると考えられるので、我々が独自に考案した方法でペプチドの系統的検索をすすめているが、新規のものは見つかっていない。(3)アンジオテンシン関連ペプチドの系統的:アンジオテンシンIIのN末に特異的なラジオイムノアッセイ(RIA)を用いて、新たなアンジオテンシン関連ペプチドを単離し、Big angiotensin-25(Bang-25)を発見した。さらに、合成品を調製し、合成品を用いて酵素に対する基質特異性を明確にした。また、抗体を作成し、ヒト生体内での分布を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
探索自体はおおむね予定していたことが実施でき、多数の内在性ペプチドの単離・構造解析を行った。多くのものが既知の生理活性ペプチドの断片や修飾物であったが、生体内で重要であると思われるペプチドも単離・構造決定できた。特に、アンジオテンシン関連のペプチドとして発見したBig angiotensin-25(Bang-25)は糖鎖の付加した新たなペプチドであり、将来医薬品のシーズとなる可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
多数の生体内ペプチドの単離同定を実施したが、それ以上に多種類のまだ単離・構造決定されてない活性を有したペプチドがあることが明らかになった。今後とも継続して新たな生理活性ペプチドの発見をめざして研究を推進したい。また、本研究で発見した新規アンジオテンシン関連ペプチドのBang-25に関しては、生体内での役割を明らかにすることで、新たな生体内調整機構を明らかにしたい。また、Bang-25の測定系を確立し、診断薬としての応用を目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
6,685円未満の消耗品の購入予定がないため。 次年度の予算と併せて試薬を購入する。
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Research Products
(8 results)