2012 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞の網羅的な遺伝学的・生物学的解析による難治性白血病の病態解明
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24659457
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80312320)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | BCR-ABL / AML1-MDS1-Evi1 / clonal evolution |
Research Abstract |
白血病では治療抵抗性の白血病幹細胞が再発に重要と考えられている。われわれは、急性転化し急性白血病化した慢性骨髄性白血病で、AML1-MDS1-Evi1の融合遺伝子を有するケースについて、単細胞の遺伝子発現解析システムを用いて白血病の分画ごとにおけるBCR-ABLキメラ遺伝子、AML1-MDS1-Evi1キメラ遺伝子の発現を解析した。まず、CD34陽性CD38陰性の最も幼若と考えられる分画とその他の分画で、集団で見た場合にBCR-ABLの発現量は差を認めなかったが、十分成熟した血球ではBCR-ABLの発現が低下していた。また、AML1-MDS1-Evi1は、CD34陰性の分化傾向のある血球分画や末梢血で発現量が低下する傾向を認めた。さらに単細胞での解析を行い、CD34陽性CD38陰性の分画の中でもBCR-ABLキメラ遺伝子の発現量は不均一であることがわかった。この結果から、必ずしも表面抗原の発現パターンでは分離することができない白血病幹細胞が存在すること、急性転化に関与していると考えられるAML1-MDS1-Evi1融合遺伝子が極めて幼若な白血病細胞分画においてすでに生じていることが示唆された。 また、家族性血小板異常症から骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)へ進展した症例の細胞を用いて全エクソームシーケンスを施行し、MDSとAMLのいずれかで認められる12の遺伝子変異を同定した。この検体を用いた単細胞の遺伝子変異解析の結果、これらの変異は①MDSのほぼ全クローンに存在する変異、②MDSの一部のクローンに存在し、AMLではほぼ全クローンに存在する変異、③MDSには存在せず、AMLで出現する変異、④MDSの一部のクローンに存在し、AMLへの進展に伴い縮小する変異に分類できた。白血病のclonal evolutionに関する興味深い知見と考えられる。
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Research Products
(18 results)