2012 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲンを標的とした新規血小板凝集阻害分子の低分子化と抗血小板薬開発研究
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24659460
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 栄人 金沢大学, 薬学系, 教授 (10296121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊従 光洋 金沢大学, 薬学系, 助教 (20608351)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 抗血小板薬 / 唾液タンパク / ハマダラカ / コラーゲン |
Research Abstract |
AAPPはコラーゲン刺激性の血小板凝集を強力に抑制することが既にわかっている。抗血小板薬の最大の副作用は出血助長を誘発することである。 本年度はAAPPとアスピリンを用いて、薬効(作用である血小板凝集阻害と、副作用である出血助長)を比較した。 (1)コラーゲン投与による肺血栓モデルでのAAPPの評価 肺血栓モデルを用いて、AAPPと既存の抗血小板薬であるアスピリンとの薬効を比較した。コラーゲンをマウスに尾静脈に接種し、肺血栓を起こさせた結果、約90%の致死性を示した。コラーゲン摂取による肺血栓形成を阻害するかを調べるために、コラーゲンを接種させる前に、AAPPとアスピリンをマウスの尾静脈から接種させ、致死性を調べた。その結果、3 mg / kg AAPPで36%であり、10 mg/ kgで7%であった。アスピリンは30 mg / kgで71%、100 mg / kgで21%であった。これらの結果から、AAPPとアスピリンの両方で、コラーゲンによる肺血栓形成を阻害し、AAPPの方がアスピリンより高い阻害効果を示した。 (2)ex vivoにおけるAAPPの薬効(作用と副作用)コラーゲン摂取によって肺血栓を引き起こさせ、これをAAPPによって回避したとき、副作用がないかを、血小板と白血球の数および、血液中のヘマトクリット値を調べた。その結果、マウスにコラーゲンを接種させたとき、血小板凝集が起き、血小板数が減少することによって、肺血栓が引き起こされる。このとき、白血球数や、ヘマトクリット値に変化はなかった。AAPPをコラーゲン接種前に尾静脈投与すると、血小板凝集が抑えられ、血小板数が回復した時、白血球数と、ヘマトクリット値に変化がなかった。以上の結果から、AAPPは既存の抗血小板薬の1つであるアスピリンより優れた血小板凝集阻害活性を持っており、副作用がないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
40%: in vivo止血モデル、肺血栓モデルにおいて、未投与群ではコラーゲン接種によって血小板の数は減るが、AAPP前投与群では血小板数の低下は起こらない。AAPP投与後にマウス尾静脈を切っても通常通りに止血した。一方、アスピリン投与群では止血しなかった。AAPPには白血球やヘマトクリットには悪影響を及ぼさず、さらに重要なことに、出血助長の副作用が見られなかった。一方、コラーゲン結合部位については欠失変異体組換えAAPPタンパクを作製したが成功してない。これは、結合部位が複雑な三次構造を形成しているためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の成果によって、アスピリンより高い血小板凝集阻害効果を持っていることや、副作用がないことから、既存の抗血小板薬より優れている可能性が示唆された。25年度は、コラーゲンとの結合部位を明らかにし、AAPPの低分子化を行う。低分子化ができれば、in vivoでの検証を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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