2012 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス制御による不活化X染色体上のPIG-A遺伝子発現誘導
Project/Area Number |
24659465
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
堀川 健太郎 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40322309)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | PNH / X染色体 / エピジェネティクス / PIG-A遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者由来の細胞を用いて、不活化X染色体上のPIG-A遺伝子をエピジェネティクス制御により活性化させることが主題である。 そのためPNH患者より血球を採取し、GPIアンカー蛋白を指標に末梢血単核細胞画分中のPIG-A遺伝子変異細胞(PNH型細胞)の割合を検討した。結果、12例のPNH患者末梢血より単核球を分離し、GPIアンカー蛋白であるCD59陰性顆粒球は4.5%から99.9%であった。PNH型細胞数をできるだけ多く確保するため単核球中の単球およびTリンパ球を培養増幅することとした。単核球画分をIL-2+PHA-P入りの培養液、またはCD14抗体結合免疫磁気ビーズで単球を分離後M-CSF入りの培養液で培養し、それぞれ約2~3倍の細胞を得たのち凍結保存した。 実験で使用するPNH型細胞としては一次細胞のみでは不十分であるため、女性由来細胞株K562のGPIアンカー蛋白陰性の亜株Km-(PNH型細胞)を入手した。このKm-を使って、エピジェネティクス制御によりGPIアンカー蛋白が回復するかをin vitroで試みた。エピジェネティック制御の方法としては、1)メチル化阻害、2)ヒストン蛋白修飾の制御、3)SmcHD1などのATPase活性を持つ蛋白のATPase阻害剤を使用した。メチル化阻害剤のアザシチジンを0.1-10μM、HDAC阻害剤のバルプロ酸を1-100μM、プロカインアミドを0.05-0.5mM、トリコスタチンAを1-100nMの濃度で培養し、4-7日後にCD59の表面発現を解析した。その結果、いずれの条件下でもCD59の有意な発現回復は認められなかった。また、ATPase阻害活性を持つダサチニブも使用したが発現回復はみられなかった。さらに、アザシチジンおよびバルプロ酸の共存下でも培養を試みたが発現回復はみられなかった。
|