2012 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群(5q-症候群)発症におけるATOX1遺伝子の役割
Project/Area Number |
24659467
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 秀明 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (30217723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 真一郎 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50160718)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ATOX1 / 骨髄異形成症候群 / 5q- 症候群 |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞(HSC)の異常により発症するクローン性造血器腫瘍である。5q-症候群は5q33領域の欠失を特徴とするMDSの一亜型であり、同領域に存在する複数の遺伝子が責任遺伝子候補とされているが、クローン増幅に関与する遺伝子は依然として不明である。そこで本研究では、5q33領域に存在するATOX1という銅シャペロン遺伝子に注目し、HSCの恒常性維持や5q-症候群発症における役割を明らかにすることを目的として行った。 本年度は、ATOX1ノックアウトマウスの造血幹細胞(HSC)・造血前駆細胞(HPC)分画と血球分化パターンの解析を中心に研究を遂行した。ATOX1ノックアウトマウス・野生型マウスの骨髄単核球を採取し、HSC分画(CD34-Flt3-KSL, CD150+KSL),HPC分画(CD34+Flt3-KSL, CD34+Flt3+KSL),各種前駆細胞分画の割合をフローサイトメトリーで解析したところ、野生型・ノックアウト間でHSC/HPCの各分画に有意な差は認められなかった。また、共通骨髄前駆細胞、共通リンパ系前駆細胞分画や成熟好中球・単球・リンパ球分画もそれぞれ解析したが、有意な差は見られなかった。 以上より、ATOX1欠失により骨髄・末梢血の各血球分画には異常を来さないことが明らかとなった。来年度は造血幹細胞機能への影響を中心に解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はATOX1欠損マウスの血球分化解析だけでなく、造血幹細胞機能の解析も施行する予定であった。しかしながら、ATOX1ノックアウトマウスの交配・コロニー拡大に予想以上の時間がかかり、数ヶ月を要した。これに伴い実験計画に遅れが生じ、本年度は骨髄と末梢血の血球分画解析までしか終了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ATOX1ノックアウトマウスのコロニーが十分数得られているため、造血幹細胞機能の解析を中心に予定の計画を早急に進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生はノックアウトマウスの匹数が十分に得られず研究が予定通りに遂行できなかった結果であり、次年度のATOX1ノックアウトマウス飼育経費、HSC移植実験に必要なレシピエントマウス費用、FACSソーティング費用、抗体染色に必要な抗体経費、細胞培養関連消耗品などに充当する予定である。
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