2013 Fiscal Year Annual Research Report
新興クリプトコックス・ガッティ感染症における高病原性機序の解析
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24659477
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 恵子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00291253)
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Keywords | クリプトコックス・ガッティ / 高病原性 / オバルブミン(OVA) / T細胞サブセット / 免疫応答性 |
Research Abstract |
1999年にカナダのバンクーバー島でアウトブレイクを起こしたCryptococcus gattiiは、免疫機能が正常な宿主においても中枢神経系へ播種感染を起こし、感染宿主はクリプトコッコーマと呼ばれる腫瘤病変を呈する。C. neoformansによるクリプトコックス症の研究から、ヘルパーT細胞(Th)サブセットのバランスが病態形成において重要であることが示唆されてきたが、ある異種抗原に反応して活性化・増殖するT細胞は極めて少ないため、詳細は不明であった。この問題は、ほとんどのT細胞が特定の抗原に対して反応するように設計されたトランスジェニックマウスを用いることにより解決することができると考えた。本研究では、マウスにとって異種であるニワトリ卵白アルブミン(ovalbumin: OVA)を発現するクリプトコックスを作製し、OVAに反応するT細胞受容体トランスジェニックマウスに感染させる系を構築すること、この系を用いてクリプトコックスの高病原性とThサブセットのバランスとの関係を明らかにすることを目的とした。 平成25年度は前年度に作製したOVA発現プラスミドを3株のC. gattiiと4株のC. neoformansに導入した。厚い莢膜と硬い細胞壁を持つクリプトコックスへの遺伝子導入はエレクトロポレーション法ではうまくいかなかったが、千葉大学真菌医学研究センターとの共同研究で、DNAを付着させた金属球をヘリウムガスで菌体に打ち込むバイオリスティック法を用いることにより成功した。また、OVA反応性T細胞受容体トランスジェニックマウスOT-IIを入手し、繁殖を進めた。研究期間内に感染実験に到達することができなかったが、期間終了後も継続して研究を進め、早期に結果を出したい。
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