2012 Fiscal Year Annual Research Report
新たなキラーT細胞標的分子「リポペプチド」に着目した、ヒトエイズ制御の新戦略
Project/Area Number |
24659481
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 昌彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80333532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高折 晃史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20324626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | エイズ / リポペプチド / キラーT細胞 |
Research Abstract |
サルエイズモデルを用いたこれまでの研究から、ミリスチン酸付加Nefペプチド (リポペプチド) に対するキラーT細胞応答の存在が明らかとなったが、ヒトにおける同様の応答は不明であった。そこで本研究において、ヒト免疫不全ウイルス感染患者より提供を受けた末梢血を用い、ヒト免疫不全ウイルス由来のNefリポペプチドに対するT細胞応答の検証を行った。まず8名の患者より末梢血単核球を得、合成Nefリポペプチド存在下あるいは非存在下でインターフェロンガンマエリスポット法を行った。その結果、1名の患者の末梢血においてNefリポペプチドを特異的に認識し、インターフェロンガンマを産生するT細胞の存在を確認した。一方、末梢血単核球全体を用いたこの方法では、充分な抗原提示細胞の供給ができていない可能性を考え、患者よりまず単球由来樹状細胞を誘導し、これを抗原提示細胞として用いたインターフェロンガンマエリスポット法に切り替えた。10名の患者より得た末梢血リンパ球を応答細胞として用いたところ、1名において、合成Nefリポペプチドに対して特異的に反応しインターフェロンガンマを産生するT細胞の存在が明らかになった。このT細胞はフリーフォームのペプチドやミリスチン酸には反応を示さなかったことから、両者が共有結合したリポペプチドを認識すると結論づけた。そこで、この患者より得た末梢血T細胞を樹状細胞の存在下で複数回抗原刺激を行い、特異的T細胞の株化を試みた。その結果、Nefリポペプチドに対する抗原特異性を示すCD8陽性T細胞株の樹立に成功した。以上の結果から、サルエイズモデルで検出されたのと同様のリポペプチド特異的T細胞応答が、ヒトにおいても存在することが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)