2012 Fiscal Year Annual Research Report
HIVプロテアーゼ二量体化機構の分子・原子レベル解析と新規の二量体化阻害剤開発
Project/Area Number |
24659484
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
満屋 裕明 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (20136724)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | HIVプロテアーゼ / 二量体化阻害 / 新規薬剤開発 / ESI-MS / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
多剤併用療法によりHIV感染者の寿命は飛躍的に向上した。しかし近年、複数の抗HIV剤に対して交差耐性を示す多剤耐性株の出現が問題視されており、より強力な阻害剤の開発が急務となっている。本研究は、(1) HIVプロテアーゼ (PR) の二量体化メカにズム及び (2) darunavir (DRV) の持つPRの二量体化阻害 (PDI) 活性のメカニズムの解明を目的とする。更に、(3) HIVがDRV耐性を獲得する過程についても明らかにする。これらのデータを基により強力な新規抗HIV剤の開発へと進めようと試みた。平成24年度は以下の研究実績を得た。(1) PRの二量体形成に重要とされるアミノ酸残基を置換 (T26A, R87K) した PR、又はPR末端領域のアミノ酸を削除したPR変異体 (PR1-C-95A)を質量分析装置 (ESI-MS) を用いて測定した。PRの二量体化は、まずT26及びR87の相互作用により二量体を形成、次いで末端領域の相互作用形成により二量体を安定化するという2ステップが必要である事を示した。(2) DRVのPDI活性に対する解析 ESI-MSによりPDI活性を有するPR阻害剤であるDRVとPDI活性を持たないsaquinavir (SQV) 及びnelfinavir (NFV) のPRに対する結合を解析した結果、DRVのみがPR単量体に結合する事が明らかとなった。このことから、DRVのPDI活性は、DRVのPR単量体に対する結合に依ることが示された。(3) HIVのDRV耐性獲得メカニズムの解析 DRVに対して高度な耐性を有するPR変異体 (DRV-RP20, DRV-RP30, PRDRV-RP51) とDRVの複合体の結晶化に成功し、構造解析によりこれら複合体の三次元構造を解析した。
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Research Products
(4 results)