2012 Fiscal Year Research-status Report
モヤモヤ病感受性遺伝子変異保因者の簡易検出法開発と脳血管病変検索
Project/Area Number |
24659486
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呉 繁夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10205221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 悌二 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00217548)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | モヤモヤ病 / 遺伝子検査 |
Research Abstract |
モヤモヤ病(MMD)は両側ウイリス動脈輪の閉塞による脳虚血と異常側副血管新生による出血とを特徴とし、成人だけでなく小児においても脳卒中を惹き起す。申請者らは、日本人MMD患者の全ゲノム相関解析により染色体17q25領域から疾患感受性遺伝子RNF213を特定し、MMD患者の72%に共通する創始者ミスセンス変異を同定した(J Hum Genet,2011)。更に、この変異のホモ接合体患者はヘテロ接合体より発症が早く、重症である事を見出した(Neurology,2012)。この変異は不完全浸透を示し、保因者の浸透率と自然予後の解明は現在の重要課題である。本研究において、家系検索により多くの未発症保因者を見出した。本研究では、まず保因者を迅速に検出する簡易遺伝子検査法を検討した。この簡易遺伝子検査は、以前申請者らが開発したCASSOH(competitive allele-specific oligonucletide hybridization)法(特願2002-323419「遺伝子変異検出法」)を利用し、迅速・簡便な遺伝子変異検出系を確立した。この遺伝子検査法の確立により、PCR装置さえあれば、約2時間でRNF213遺伝子の日本人高頻度遺伝子変異の有無を検索する事ができる、次に、患者家族でインフォームド・コンセント取得後、遺伝子診断と未発症保因者の頭部MRアンギオグラフィーを実施した。既に得られたMRI画像を分析中である。この研究期間終了後も、経時的MRA検査を行い、自然予後を解明する予定である。なお、本研究は東北大学倫理委員会の承認を受けている(承認番号、2010-424)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載の通り、モヤモヤ病の疾患感受性遺伝子であるRNF213遺伝子内に存在する日本人高頻度遺伝子変異を検出する迅速遺伝子検査法を確立した。検出方法は、申請者らが以前開発し、特許申請したCASSOH法という検査法であり、PCR装置と10cm程度のイムノクロマトグラフィーを利用し、オリゴヌクレオチドのPCR産物への結合程度により遺伝子変異の有無を検出する。このCASSOH法を用いることで、外来やベッドサイドで迅速・簡便に遺伝子変異検査が可能になる。家族検索にてRNF213遺伝子変異を持つ家族に対しては、インフォームド・コンセント取得後MRアンギオグラフィーを実施した。現在のところ、解析できた人数が少ないため、統計学的解析にはもう少し被験者数を多くする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で、モヤモヤ病感受性遺伝子RNF213上に存在する日本人高頻度遺伝子変異を迅速・簡便に検出出来る遺伝子検査法を確立した。モヤモヤ病家系において、新しい検査法を用いた遺伝子検査とMRアンギオグラフィーによる脳血管検査を進め、未発症の保因者における脳血管の変化を明らかにしていく予定である。宮城県立こども病院脳神経外科では、小児モヤモヤ病患者のバイパス手術を積極的に行っている。今後、宮城県立こども病院との共同研究を推し進め、未発症の保因者の研究協力者を募り、モヤモヤ病発症前、ないしは初期にMRアンギオグラフィー上の微細な予兆変化の特定を行い、発症例の初期診断につなげていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していたCASSOH法に必要な部材の入手が困難であったためにCASSOHの確立が遅れ、次の研究段階である保因者の遺伝子検査とMRアンギオフラフィーの実施開始が遅れたために生じたものである。この予算は、延期したMRアンギオグラフィーに必要な経費として、平成25年度に使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Homozygous c.14576G>A variant of RNF213 predicts early-onset and severe form of moyamoya disease2012
Author(s)
Miyatake S, Miyake N, Touho H, Nishimura-Tadaki A, Kondo Y, Okada I, TsurusakiY, Doi H, Sakai H, Saitsu H, Shimojima K, Yamamoto T, Higurashi M, Kawahara N, Kawauchi H, Nagasaka K, Okamoto N, Mori T, Koyano S, Kuroiwa Y, Taguri M, Morita S, Matsubara Y, Kure S, Matsumoto N.
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Journal Title
Neurology
Volume: 78(11)(Epub)
Pages: 803-10
DOI
Peer Reviewed
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