2013 Fiscal Year Annual Research Report
難治性EBウイルス感染症に対する免疫寛容を利用した細胞療法の確立
Project/Area Number |
24659493
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 宏 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30303621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 嘉規 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20373491)
五島 典 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70201499)
鎌倉 真紀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), COE特任助教 (80437003)
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Keywords | 細胞療法 / EBウイルス |
Research Abstract |
慢性活動性EB ウイルス感染症やEB ウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症などの難治性EB ウイルス感染症は、治療抵抗性で予後不良な疾患である。近年、母子の体内には胎児期に移行した極微量のリンパ球がそれぞれに存在し、母子間免疫寛容が成立していることが明らかとなり、この免疫寛容を利用した細胞療法の可能性が拡がってきた。本研究では、難治性EB ウイルス感染症患者に対する新規治療法として、母から患者へのリンパ球輸注による細胞療法を確立することを目的として基礎的実験を行った。 妊娠中、胎盤を通して母子間では血液の交流があり、出産後も児の体内には母のリンパ球が存在し、同様に母の体内にも児のリンパ球が存在すると言われている。我々は、難治性EBウイルス感染症患者とその母の末梢血中から、定量的PCR 法を用いて極微量の母子間マイクロキメリズムの検出を試みた。予備実験として、ヒト細胞株、健常人血液細胞を用い検討した。当初、4-6 個の塩基の欠失もしくは挿入などの多型が認められる遺伝子をターゲットしたが、極微量の細胞を検出することはできなかった。次に対象遺伝子を(Sex-determining region Y)SRY遺伝子およびHLA-DRに変更したところ、2種類の細胞株を異なる濃度で混ぜ合わした再現実験により、極微量の混入細胞を検出する系を確立できた。慢性活動性EB ウイルス感染症患者とその母の血液に対してこの系を応用したところ、5組中2組に母子間マイクロキメリズムを証明することができた。更に、患者リンパ球を免疫不全マウス(NOGマウス)に経静脈的に投与し、マウスに慢性活動性EB ウイルス感染症様症状を再現するex vivoモデルを確立した。 以上の結果は、慢性活動性EB ウイルス感染症患者に対する母から患者へのリンパ球輸注による細胞療法の実現性に向けて基盤となる重要な知見と考えられた。
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Research Products
(2 results)